STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第22回 言語聴覚士国家試験 第59問

失語症第22回
原発性進行性失語について誤っているのはどれか。
  1. 1.ロゴペニック型では復唱はできるが喚語困難は強い。 ✓
  2. 2.意味型では表層性失読と・失書が出現する。
  3. 3.意味型では単語の理解障害と呼称障害が出現する。
  4. 4.非流暢/失文法型は前頭側頭葉変性症で出現する。
  5. 5.非流暢/失文法型では電文体発話を呈する場合がある。

正答:1番

解説
■ 正答:1番 — ロゴペニック型では復唱はできるが喚語困難は強い。 ロゴペニック型PPA(Primary Progressive Aphasia)の特徴は「復唱障害が著しく目立つ」という点です。むしろ復唱ができることは他の型の特徴であり、ロゴペニック型では「復唱障害が顕著」であるため、この記述は誤りです。 --- 【各選択肢の解説】 1. ロゴペニック型では復唱はできるが喚語困難は強い。 ❌ 誤り。ロゴペニック型PPAの核症状は「復唱障害」と「喚語困難」の両立です。復唱が「できる」のではなく「できない」が正しい。復唱障害が顕著な点がこの型の特徴的所見です。 2. 意味型では表層性失読と失書が出現する。 ✅ 正しい。意味型(semantic variant PPA)では意味記憶が障害されるため、音韻ルートより意味ルートが障害されます。単語の音を読むことはできても意味理解に基づく読み書き(表層性失読・失書)が出現します。 3. 意味型では単語の理解障害と呼称障害が出現する。 ✅ 正しい。意味型では意味記憶の喪失が中核的障害であるため、単語意味理解(「犬」を見ても意味がわからない)と呼称障害(名前が出ない)の両者が顕著に出現します。 4. 非流暢/失文法型は前頭側頭葉変性症で出現する。 ✅ 正しい。非流暢/失文法型PPA(nonfluent/agrammatic variant PPA)は左下前頭葉を含む前頭側頭葉変性症(FTD)に伴う失語型です。 5. 非流暢/失文法型では電文体発話を呈する場合がある。 ✅ 正しい。非流暢/失文法型では文法機能語(助詞・助動詞)が脱落し、内容語(名詞・動詞)が残る「電文体(telegraphic speech)」発話が出現することがあります。 --- 【試験対策ポイント】 原発性進行性失語(PPA)3型の特徴比較 | 型 | 主責任部位 | 核症状 | 復唱 | 理解 | 呼称 | |---|---|---|---|---|---| | ロゴペニック型 | 左頭頂側頭葉(角回周辺) | 復唱障害・喚語困難 | 著しく不良 | 良好 | 不良 | | 意味型 | 左前側頭葉 | 意味記憶喪失 | 良好 | 不良 | 不良 | | 非流暢/失文法型 | 左下前頭葉 | 文法機能の障害 | 良好 | 良好(文法理解↓) | 軽度障害 | 重要:ロゴペニック型は「復唱障害が顕著」という点で伝導失語に似ているが、脳病変部位と背景疾患が全く異なる 意味型の読み書き障害: - 「犬」の字を見て音では読める(「けん」と読める) - しかし意味がわからない(犬が何かわからない) - → 表層性失読・失書の形態 非流暢/失文法型の特徴: - 電文体発話:「私 昨日 医者 いった」(助詞脱落) - 文法的複雑さが言語処理を困難にする 紛らわしい点: 「復唱できる」=伝導失語・超皮質性感覚失語・命名失語など 「復唱できない」=ロゴペニック型PPA・Wernicke失語・全失語など
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