STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第22回 言語聴覚士国家試験 第60問

失語症第22回
誤っている組み合わせはどれか。 a.聴覚言語性短期記憶 ― 数唱検査 b.語音認知 ― 語音弁別検査 c.音韻操作 ― モーラ抽出検査 d.意味理解 ― 語彙性判断検査 e.喚 語 ― 単語理解力検査 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — d.意味理解―語彙性判断検査 e.喚語―単語理解力検査 d項目は「意味理解」の検査として「語彙性判断検査」は不適切です。語彙性判断検査は実在する語と造語を区別する課題であり、意味理解そのものを測定していません。e項目は「喚語」(命名)の検査として「単語理解力検査」は明らかに不一致で、単語理解力検査は理解能力を測定するものであり、喚語(語を産出する能力)とは全く異なる機能です。 --- 【各選択肢の解説】 a.聴覚言語性短期記憶―数唱検査 ✅ 正しい。数唱検査は提示された数字を正確に復唱する課題であり、聴覚情報を一時的に保持する短期記憶能力を直接測定します。失語症検査(特に標準失語症検査)の必須項目です。 b.語音認知―語音弁別検査 ✅ 正しい。語音弁別検査(例:/pa/と/ba/の弁別)は、細かい音韻差を知覚・弁別する能力を測定し、これは語音認知(音を聞き分ける能力)そのものです。 c.音韻操作―モーラ抽出検査 ✅ 正しい。モーラ抽出検査は「みかん」から「み」を取り出すなど、言語音を操作する課題であり、音韻操作能力の指標です。 d.意味理解―語彙性判断検査 ❌ 誤り。語彙性判断検査は「apple」と「bpple」を区別する課題で、実在する語と非語を判定するものです。これは「語が実在するか」という言語体系的知識を測定し、意味理解(単語の意味を理解しているか)を測定していません。意味理解の検査には「単語の意味説明」「カテゴリー判断」などが適切です。 e.喚語―単語理解力検査 ❌ 誤り。喚語(命名能力)は「物を見て名前を答える」という産出課題です。これに対し単語理解力検査は「『犬』は動物ですか?」といった理解課題であり、方向性が完全に異なります。喚語の検査は「呼称検査」「命名検査」が標準です。 --- 【試験対策ポイント】 失語症検査の課題と測定機能の対応 | 測定機能 | 該当する検査課題 | |---|---| | 聴覚短期記憶 | 数唱検査、単語系列記憶 | | 語音認知 | 語音弁別検査(/pa/vs/ba/) | | 音韻操作 | モーラ抽出、音韻削除、韻の判定 | | 意味理解 | カテゴリー判断、意味説明、マッチング | | 喚語(命名) | 呼称検査、説明による語想起 | | 語彙判定 | 語彙性判断検査(実在語vs造語) | 紛らわしい知識の区別 - 「語彙性判断」≠「意味理解」:前者は言語体系的知識、後者は概念的理解 - 「喚語」≠「理解」:喚語は産出、理解は受容的機能 - 「短期記憶」:数唱などの一時保持課題で測定。長期記憶(学習)とは異なる 出題ワンポイント d,e両方が誤っているため「5番」が正答。d項目のひっかけが特に難しく、語彙性判断検査の定義を正確に理解している必要があります。
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