STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第22回 言語聴覚士国家試験 第61問

失語症第22回
失語症の言語訓練について誤っているのはどれか。
  1. 1.行動変容法では目標行動を設定する。
  2. 2.機能再編成法では学習能力が必要とされる。
  3. 3.刺激法では聴覚刺激も視覚刺激も活用される。
  4. 4.遮断除去法は言語様式間に成績差がある場合に適用できる。
  5. 5.語用論的アプローチでは単語属性のコントロールが必要である。 ✓

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — 語用論的アプローチでは単語属性のコントロールが必要である 語用論的アプローチは、実際の会話場面での言語使用能力(聴者への働きかけ、文脈に応じた表現の選択、談話の構成など)を重視するため、単語属性(品詞、頻度、画像性など)のコントロールは必須ではなく、むしろ自然な会話場面を設定することが重視されます。対照的に、刺激法などでは刺激語の属性を厳密にコントロールして訓練効果を測定します。 --- 【各選択肢の解説】 1. 行動変容法では目標行動を設定する ✅ 正しい。行動変容法は、学習理論に基づき、具体的で測定可能な「目標行動」を設定し、その達成に向けて強化などの条件づけを行う方法です。目標行動は言語訓練全般の基本です。 2. 機能再編成法では学習能力が必要とされる ✅ 正しい。機能再編成法は、損傷脳領域の機能を他の脳領域が代償する現象を活用する方法で、新たに学習する能力(可塑性)が重要な前提となります。学習能力がなければ再編成は進みません。 3. 刺激法では聴覚刺激も視覚刺激も活用される ✅ 正しい。刺激法は、視覚刺激(文字・画像)、聴覚刺激(音声)、身体感覚刺激など多様な刺激様式を組み合わせて言語処理を促進する方法です。複数の感覚経路からのアプローチが特徴です。 4. 遮断除去法は言語様式間に成績差がある場合に適用できる ✅ 正しい。遮断除去法は、より得意な言語様式(例:音読が得意で、復唱が不得意な場合)をあえて遮断して、苦手な様式を強化する方法です。様式間の成績差がないと適用できません。 5. 語用論的アプローチでは単語属性のコントロールが必要である ❌ 誤り。語用論的アプローチは、実在的で自然な会話場面での言語運用能力を重視するため、むしろ人工的な「属性コントロール」よりも、会話相手の反応、文脈、社会的状況などの自然な要素を重視します。 --- 【試験対策ポイント】 失語症訓練法の比較表: | 訓練法 | 重視する点 | 設定内容 | |---|---|---| | 行動変容法 | 目標行動の設定・測定 | 具体的で観察可能な行動 | | 機能再編成法 | 脳の可塑性・学習能力 | 損傷領域の代償メカニズム | | 刺激法 | 多様な感覚入力 | 視覚・聴覚・身体感覚の複合 | | 遮断除去法 | 様式間の成績差の活用 | 得意様式の遮断→苦手様式強化 | | 語用論的アプローチ | 自然な会話場面での運用 | 社会的文脈・相互作用 | キーポイント: - 刺激法と語用論的アプローチの対比が重要。刺激法は「統制された刺激」、語用論的アプローチは「自然な会話場面」 - 属性コントロールは「刺激法」の特徴で、「語用論的アプローチ」ではない - 遮断除去法は「両者の成績が異なる」ことが前提条件
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