第22回 言語聴覚士国家試験 第63問
高次脳機能障害第22回
記憶の具体例と記憶の分類との組み合せについて誤っているのはどれか。
- 1.暗算をする。 ― 作業記憶
- 2.ピアノを習ったので弾ける。 ― 手続き記憶
- 3.先ほどコーヒーを飲んだことを覚えている。 ― 短期記憶 ✓
- 4.祖母は子供のころの話をよく覚えている。 ― 遠隔記憶
- 5.「江戸幕府を開いたのは徳川家康だ」と知っている。 ― 意味記憶
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 先ほどコーヒーを飲んだことを覚えている。― 短期記憶
「先ほどコーヒーを飲んだ」という具体的な出来事の記憶は、短期記憶(数秒~数分)ではなく、エピソード記憶(長期記憶の一種)です。短期記憶は情報保持時間が非常に短く、置き換わりやすい一時的な記憶なのに対し、この問題のコーヒーの出来事は時間経過を経ても想起できる点でエピソード記憶に分類されます。
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【各選択肢の解説】
1. 暗算をする。― 作業記憶
✅ 正しい。暗算中は計算途中の数字を一時的に頭に保持しながら処理する必要があり、これは作業記憶(ワーキングメモリ)の典型的な例です。
2. ピアノを習ったので弾ける。― 手続き記憶
✅ 正しい。技能習得や運動学習の記憶は手続き記憶に分類されます。鍵盤の位置や指の動きなどの「方法」を覚えていることが特徴です。
3. 先ほどコーヒーを飲んだことを覚えている。― 短期記憶
❌ 誤り。このような時間的・空間的背景を持つ具体的な出来事の記憶はエピソード記憶(長期記憶)です。短期記憶は数秒~数分程度の保持で、置き換わりやすい特徴を持ちます。
4. 祖母は子供のころの話をよく覚えている。― 遠隔記憶
✅ 正しい。遠隔記憶とは遠い過去の出来事に関する記憶を指します。子ども時代の出来事は数十年前のエピソード記憶として分類され、遠隔記憶の典型例です。
5. 「江戸幕府を開いたのは徳川家康だ」と知っている。― 意味記憶
✅ 正しい。いつ、どこで学んだかという文脈とは無関係に、一般的知識として保持されている情報が意味記憶です。歴史知識はその典型例です。
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【試験対策ポイント】
記憶の分類体系(Tulving, 1985)
| 分類軸 | 記憶タイプ | 特徴 | 具体例 |
|---|---|---|---|
| **時間軸** | 短期記憶 | 数秒~数分、容量制限 | 電話番号一時記憶 |
| | 長期記憶 | 数時間以上、半永久的 | 昨日の出来事、知識 |
| **長期記憶の内容** | 陳述記憶(顕在記憶) | 意識的に思い出せる | エピソード+意味 |
| | 非陳述記憶(潜在記憶) | 無意識的、方法の記憶 | 自転車乗り、習慣 |
| **陳述記憶の詳細** | エピソード記憶 | 出来事の記憶(いつ、どこで) | 先ほどコーヒーを飲んだこと |
| | 意味記憶 | 意味・知識(文脈なし) | 歴史知識、言語 |
| **作業記憶(別軸)** | ワーキングメモリ | 情報処理・一時保持(短期) | 暗算、読解中の情報保持 |
重要な誤解防止ポイント
- 短期記憶≠エピソード記憶(ただし短期記憶の後に長期化するとエピソード記憶になる)
- 「先ほど」「昨日」「子ども時代」など時間表現が出たら→エピソード記憶か遠