第22回 言語聴覚士国家試験 第76問
音声障害第22回
一側性声帯麻痺による嗄声を呈する患者において、検査値が正常より小さくなるのはどれか。
a.肺活量
b.声 域
c.最長発声持続時間
d.発声時平均呼気流率
e.基本周波数のゆらぎ(PPQ)
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — b,c
一側性声帯麻痺では、声帯の一側が固定されるため、音声生成に支障が生じます。声域(音の高さの範囲)は麻痺側声帯の動きが制限されることで狭くなり、最長発声持続時間は声帯間隙の拡大により呼気が漏出しやすくなるため短縮します。肺活量や呼気流率、周波数ゆらぎの程度は発声メカニズムに直接的な影響を受けないため正常値の範囲内となります。
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【各選択肢の解説】
a. 肺活量
✅ 正常値。肺活量は呼吸機能検査の一項目で、声帯麻痺の有無に関わらず呼吸器系の容量により決定されるため、声帯麻痺による影響を受けません。
b. 声域
❌ 検査値が小さくなる。声域(ピッチレンジ)は基本周波数の最高値と最低値の幅です。麻痺側声帯の緊張度低下により、音声生成時の周波数調整能力が低下し、声域が狭くなります。
c. 最長発声持続時間(MPT)
❌ 検査値が小さくなる。一側声帯麻痺では麻痺側声帯が正中線に寄らず、声帯間隙が拡大して呼気が漏出します。そのため、同じ肺活量でも発声継続時間が短くなります。
d. 発声時平均呼気流率(AFGR)
✅ 正常値。呼気流率は呼気量を発声時間で除した値です。声帯麻痺では呼気漏出は増えますが、その増加分は発声に寄与しない無効な流出であるため、検査値としての平均呼気流率は相対的に変わりません。通常の測定では正常範囲内です。
e. 基本周波数のゆらぎ(PPQ)
✅ 正常値。PPQ(Pitch Period Quotient)は周期的な基本周波数の変動を示す指標です。一側声帯麻痺は音声周波数の安定性より、むしろ声の強度や音圧レベルの低下に影響を与えるため、周波数ゆらぎは正常範囲内です。
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【試験対策ポイント】
| 検査項目 | 一側声帯麻痺での変化 |
|---|---|
| 肺活量 | 変わらない(呼吸機能) |
| 声域 | 狭くなる(周波数調整能力↓) |
| MPT | 短くなる(声帯間隙↑→呼気漏出) |
| AFGR | 変わらない(測定方法による) |
| 周波数ゆらぎ(PPQ) | 変わらない(周期安定性は保持) |
**一側声帯麻痺の音声特徴:**
- 嗄声(気息性嗄声)
- 音圧レベル低下
- 声の努力感・疲労感
**肺機能パラメータ(肺活量・呼気流率)は声帯位置と無関係**