第22回 言語聴覚士国家試験 第78問
機能性構音障害第22回
異常構音とその異常が出現しやすい音との組み合わせで誤っているのはどれか。
- 1.鼻咽腔構音 ― ク
- 2.咽頭摩擦音 ― シ
- 3.口蓋化構音 ― タ
- 4.側音化構音 ― ナ ✓
- 5.声門破裂音 ― カ
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 側音化構音 — ナ
側音化構音は、舌の正中部が盛り上がり側部が下がることで、サ行音で側面から空気流が流出する異常です。そのため「サ」「シ」「ス」「セ」「ソ」で特に出現しやすく、ナ行音では出現しません。ナ行音が側音化する報告は臨床的にほぼありません。
---
【各選択肢の解説】
1. 鼻咽腔構音 — ク
❌ 誤り(正確には検証が必要)。鼻咽腔構音(咽頭部で構音)は本来カ行で出現しやすく、ク音は二次的な産物です。むしろカ行音がより典型的ですが、ク音も不適切なわけではありません。この選択肢の妥当性は文献依存です。
2. 咽頭摩擦音 — シ
❌ 誤り。咽頭摩擦音は咽頭腔で摩擦を生じさせる異常です。シ音(歯茎硬口蓋摩擦音)は正常な場合、硬口蓋周辺での構音ですが、異常としては「咽頭摩擦音」はむしろ「ス」など奥の摩擦音で問題になりやすく、シが典型例とは言えません。
3. 口蓋化構音 — タ
❌ 誤り(典型例ではない)。口蓋化構音(舌背が硬口蓋に接近)は、ア行・ウ行音で「ヤ行化」や「ワ行化」として出現することが多く、タ行音での出現は相対的に少ないです。むしろタ行は他の異常構音の対象になりやすい音です。
4. 側音化構音 — ナ
✅ 正答。側音化構音では舌が側方に流出する異常が生じ、典型的にはサ行音(特にス、シ)で問題になります。ナ行音は鼻音で別の機序で構音されるため、側音化構音の対象音ではありません。
5. 声門破裂音 — カ
❌ 誤り。声門破裂音(声門で閉鎖を作る異常)は、カ行・タ行・パ行など「無声閉鎖音」で代用音として出現します。カ音は典型例です。
---
【試験対策ポイント】
異常構音と典型的な対象音:
| 異常構音 | 対象音(典型例) | 機序 |
|---|---|---|
| 側音化構音 | サ、シ、ス、セ、ソ(特にス) | 舌正中盛り上がり→側部から気流流出 |
| 咽頭摩擦音 | カ、ス(奥の音) | 咽頭腔での摩擦 |
| 鼻咽腔構音 | カ、ガ行 | 鼻咽腔での狭窄構音 |
| 口蓋化構音 | ア行→ヤ行化、ウ行→ワ行化 | 舌背が硬口蓋に接近 |
| 声門破裂音 | カ、タ、パ行 | 声門での閉鎖代用 |
重要な否定知識:
- 側音化構音でナ行音は異常にならない(ナは鼻音で独立した機序)
- ナ行音の異常は「軽鼻声」「鼻から漏れる」など別の現象
- 試験の落とし穴:各異常構音の「最も典型的な音」を正確に覚えることが必須