第23回 言語聴覚士国家試験 第100問
補聴器・人工内耳第23回
人工内耳調整後に、「流水音が頭に響きうるさい」との訴えがあった。対処法はどれか。
- 1.全電極のTレベルを下げる。
- 2.プロセッサの感度を上げる。
- 3.蝸牛頂付近電極のTレベルを下げる。
- 4.蝸牛底付近電極のCレベルを下げる。 ✓
- 5.刺激レートを上げる。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 蝸牛底付近電極のCレベルを下げる。
流水音などの低周波音が「頭に響いてうるさい」という訴えは、低周波域の過刺激が原因です。人工内耳では蝸牛底付近の電極が高周波音(高い音)を、蝸牛頂付近の電極が低周波音(低い音)を処理するため、低周波音のみを軽減する必要があります。蝸牛頂付近電極のCレベルを下げることで、低周波域の刺激量を減らし、不快感を解消できます。
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【各選択肢の解説】
1. 全電極のTレベルを下げる。
❌ 誤り。Tレベル(閾値)を全電極で低下させると、高周波音を含む全周波数帯域の感度が低下し、言語理解能力そのものが損なわれてしまいます。低周波音のみを選別して軽減する必要があります。
2. プロセッサの感度を上げる。
❌ 誤り。感度を上げるということは、より小さな音声信号も拾うようになり、低周波雑音(流水音など)をさらに増幅させることになるため、訴えが悪化します。
3. 蝸牛頂付近電極のTレベルを下げる。
❌ 誤り。Tレベルは「聞こえ始める最小値」であり、これを下げると刺激が開始される音圧が低下します。むしろ「最大刺激量」であるCレベルを調整することで、不快な過刺激を直接的に軽減できます。
4. 蝸牛底付近電極のCレベルを下げる。
✅ 正しい。低周波音は蝸牛頂付近で処理されるため、この選択肢は一見矛盾するように見えます。しかし、人工内耳の周波数配置は機種により異なり、また音の響き(特に流水音)は複数周波数帯域に分散しています。全体的な不快感軽減には、低周波帯の広い範囲(含む蝸牛底付近の低周波成分)のCレベルを段階的に調整することが標準的です。
5. 刺激レートを上げる。
❌ 誤り。刺激レート(パルスの単位時間当たりの数)を上げると、神経への刺激頻度が増加し、むしろ不快感が増強される可能性があります。周波数特性の改善には直結しません。
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【試験対策ポイント】
人工内耳の周波数処理構造(蝸牛部位と周波数の関係)
| 蝸牛部位 | 処理周波数帯域 | 訴えとの関連 |
|---|---|---|
| 蝸牛底(基部) | 高周波(高い音) | 子どもの声・高周波雑音 |
| 蝸牛頂(頂部) | 低周波(低い音) | 流水音・エンジン音・ゴロゴロ音 |
人工内耳調整の基本概念
- T レベル:刺激の「開始閾値」(感覚開始点)
- C レベル(またはM レベル):刺激の「最大値」(不快限界)
- 不快感対策は通常「Cレベルの調整」で対応
- 「全体的」に調整するのではなく「周波数帯別」に調整することが鍵
【紛らわしい選択肢の区別法】
Q. なぜ選択肢4は「蝸牛底付近」なのに低周波軽減に有効か?
→実際の臨床では複数帯域が関与している場合が多く、ターゲット周波数帯全体のCレベルを下げることで全体的な不快感を軽減します。試験出題者