第23回 言語聴覚士国家試験 第132問
言語発達学第23回
誤っている組合せはどれか。
- 1.育児語 ――― 足場
- 2.原会話 ――― 記号的認識 ✓
- 3.間主観性 ――― 伝染
- 4.要求の指さし ――― 目的-手段関係
- 5.三項関係 ――― 社会的参照
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 原会話 ――― 記号的認識
原会話(protodialogue)は母子間の相互作用的な対話ですが、この段階ではまだ記号的認識(シンボル機能)を獲得していません。記号的認識の獲得は、原会話よりも後の発達段階(生後8~12ヶ月以降)に成立する、より高度な認知能力です。
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【各選択肢の解説】
1. 育児語 ――― 足場
✅ 正しい。育児語(マザリーズ)は高めの音声、ゆっくりとした話速、単純な文法などの特徴を持ち、乳幼児の学習を促進する足場(スキャッフォルディング)として機能します。Brunerが重視した重要な概念です。
2. 原会話 ――― 記号的認識
❌ 誤り。原会話は生後2~6ヶ月頃の母子間の相互作用的対話であり、この段階ではまだ記号的認識(シンボル機能)は成立していません。記号的認識は生後8~12ヶ月以降に発達する、より後期の認知能力です。
3. 間主観性 ――― 伝染
✅ 正しい。間主観性(intersubjectivity)は二者間の心的状態の共有を意味し、情動伝染(一方の情動が他方に自動的に波及する現象)はその初期的な形態です。新生児期からみられる現象です。
4. 要求の指さし ――― 目的-手段関係
✅ 正しい。要求の指さし(imperative pointing)は、生後8~12ヶ月に出現し、大人に対象物を取ってもらうという「目的」を達成するための「手段」として指さしを使う行為です。目的-手段関係の成立を示す重要な発達指標です。
5. 三項関係 ――― 社会的参照
✅ 正しい。三項関係(triadic relationship)は乳幼児・対象物・大人の三者関係を指し、生後12ヶ月以降に成立します。社会的参照(social referencing)は、不確実な状況で大人の情動反応を参照することであり、三項関係が成立してこそ可能となります。
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【試験対策ポイント】
言語前期の発達段階と各概念の対応
| 月齢 | 主要な発達事象 | 関連概念 |
|---|---|---|
| 新生児~2ヶ月 | 原反射・情動伝染 | 間主観性(初期形態) |
| 2~6ヶ月 | 原会話(相互作用) | マザリーズ(足場) |
| 8~12ヶ月 | 指さし出現・記号的認識開始 | 目的-手段関係・三項関係の準備 |
| 12ヶ月以降 | 三項関係の成立・社会的参照 | 指差し・ジョイント・アテンション |
キーワード整理
原会話:母子間の相互作用的対話(生後2~6ヶ月)→ まだ象徴・記号ではない
記号的認識:シンボル機能の獲得(生後8~12ヶ月以降)→ 対象物を心的表象で表現できる能力
間主観性:最初は反射的な情動伝染から始まり、やがて意図的な心的状態の共有へ発展
社会的参照:生後12ヶ月以降、不確実な状況で養育者の顔表情を見て判断する行動