第23回 言語聴覚士国家試験 第134問
生涯発達心理学第23回
老年期について正しいのはどれか。
a.老年期の防衛型パーソナリティにおける防衛は、人間関係に傷つくことに対するものである。
b.自分自身を実年齢よりも若く認識する傾向がある。
c.SOC理論によると、補償を伴う選択的最適化によって発達が促される。
d.Ryff,C.D.による成熟したパーソナリティの6要素には、死の受容が含まれる。
e.Erikson.E.H.の老年期の発達課題は、若い世代と同じように生産的な活動を行うことである。
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — b,c
老年期の発達は選択的最適化と補償(SOC理論)によって説明され、また多くの高齢者は実年齢よりも若い主観的年齢を持つという心理学的事実に基づいています。
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【各選択肢の解説】
a. 老年期の防衛型パーソナリティにおける防衛は、人間関係に傷つくことに対するものである。
❌ 誤り。Neugarten et al.の研究では、防衛型パーソナリティの防衛は「内的葛藤や不安」に対する心理的防衛メカニズムであり、人間関係の傷つきに限定されません。防衛型は退職や喪失などのストレスに対して心理的防衛を高めます。
b. 自分自身を実年齢よりも若く認識する傾向がある。
✅ 正しい。多くの高齢者は実年齢よりも10~15歳若く自分を認識する傾向があります。これを「若年性バイアス」または「主観的年齢の若さ」と呼び、心理的適応を促進する適応的な認識パターンです。
c. SOC理論によると、補償を伴う選択的最適化によって発達が促される。
✅ 正しい。Baltes,P.B.のSOC理論(Selective Optimization with Compensation)では、加齢に伴う機能低下に対して、選択(得意領域への焦点化)・最適化(その領域での能力向上)・補償(失われた機能を補う代替方法の獲得)により、発達が維持・促進されると説明しています。
d. Ryff,C.D.による成熟したパーソナリティの6要素には、死の受容が含まれる。
❌ 誤り。Ryffの心理的ウェルビーイング6要素は①自律性②環境制御③人間関係④人的成長⑤人生目的⑥自己受容です。死の受容はEriksonの発達課題(統合vs絶望)に関連しますが、Ryffの6要素には明示されていません。
e. Erikson.E.H.の老年期の発達課題は、若い世代と同じように生産的な活動を行うことである。
❌ 誤り。Eriksonの老年期(65歳以上)の発達課題は「統合(integrity)vs 絶望(despair)」であり、生涯を振り返って人生の一貫性を統合することです。生産的活動は成人期中期(40~64歳の「生殖性」の段階)の課題であり、老年期ではありません。
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【試験対策ポイント】
老年期心理学の3大理論の特徴
| 理論 | 研究者 | 主要概念 | 老年期への適用 |
|---|---|---|---|
| 継続理論 | Atchley | ライフスタイル継続 | 過去のパターンを続ける |
| SOC理論 | Baltes | 選択・最適化・補償 | 制約下での発達維持 |
| 統合理論 | Erikson | 8段階発達課題 | 人生統合vs絶望 |
Ryff心理的ウェルビーイング6要素(覚え方:「人生で自分を高める」)
1. 自律性(Autonomy)
2. 環境制御能(Environmental mastery)
3. 人間関係(Positive relations with others)
4. 人的成長(Personal growth)
5. 人生目的(Purpose in life)
6. 自己受容(Self-acceptance)
主観的年齢の特徴
- 実年齢より10~15歳若く認識→適応的機能
- 自己効力感・QOL向上に関連
- 「心は若い」という自己評価は心理的健康指標
Erikson発達課題(幼児期~老年期)
- I期:信頼vs不信(0~1.5歳)