第23回 言語聴覚士国家試験 第146問
言語発達学第23回
ナラティブの発達基盤となるスクリプトについて正しいのはどれか。
- 1.ことばに含まれる音の単位の認識
- 2.時系列的な事象に関する一般的知識 ✓
- 3.前に見たモデルの行動を再現する力
- 4.自由遊び場面などで観察される子供の独語
- 5.言語そのものを客観的に考えることができる力
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 時系列的な事象に関する一般的知識
スクリプトは「繰り返される日常的な経験の時系列的なパターンについての一般的知識」です。これはナラティブ(物語)発達の基盤となり、子どもが「朝起きて、顔を洗って、朝食を食べる」といった一連の流れを理解することで、より複雑な物語構造を構成できるようになります。
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【各選択肢の解説】
1. ことばに含まれる音の単位の認識
❌ 誤り。これは「音韻認識」であり、スクリプトではなく文字習得やフォニックス学習に関連する概念です。ナラティブ発達の基盤としては直接的な関連がありません。
2. 時系列的な事象に関する一般的知識
✅ 正しい。スクリプト(script)とは、繰り返される日常経験を時系列的にまとめた心的枠組みです。子どもがこのような「シナリオ知識」を持つことで、物語の因果関係や時間的流れを理解し、ナラティブの構成が可能になります。
3. 前に見たモデルの行動を再現する力
❌ 誤り。これは「観察学習」「社会的学習」に関する概念であり、特にバンデューラの理論です。スクリプトはモデル学習ではなく、繰り返される経験パターンの認識に関するものです。
4. 自由遊び場面などで観察される子供の独語
❌ 誤り。子どもの独語(プライベートスピーチ)はピアジェとヴィゴツキーの自己調整言語に関する概念です。スクリプトとは異なる、メタ認知的な言語使用です。
5. 言語そのものを客観的に考えることができる力
❌ 誤り。これは「メタ言語能力」を説明しており、音韻認識や読字・綴字学習に関連します。スクリプトは言語の形式ではなく、経験内容の構造化についての知識です。
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【試験対策ポイント】
紛らわしい概念の区別:
| 概念 | 定義 | 発達段階 |
|---|---|---|
| スクリプト | 繰り返される日常経験の時系列パターン | 2~3歳から形成 |
| ナラティブ | 時間的・因果的に構成された物語 | スクリプト習得後(3~4歳以降) |
| スキーマ | 知識の認知的枠組み(より広い概念) | スクリプト含む上位概念 |
| メタ言語能力 | 言語を対象化して認識する力 | 5~6歳以降 |
| プライベートスピーチ | 自己調整の独語 | 2~4歳のピーク |
スクリプト発達の順序:
1. 日常ルーティンの経験(朝の生活、食事時間など)
2. スクリプト化(シナリオとしての認識)
3. ナラティブスキルへの応用(物語の時系列・因果構成が可能に)