第23回 言語聴覚士国家試験 第155問
失語症第23回
随伴することが多い組み合わせはどれか
- 1.ブローカ失語 ――― 健忘症候群
- 2.ウェルニッケ失語 ――― 片麻痺
- 3.伝導失語 ――― 視覚性失認
- 4.純粹失読 ――― 同名性半盲 ✓
- 5.純粹語聲 ――― 構成障害
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 純粹失読 ――― 同名性半盲
純粋失読は「音読障害」で、通常は角回(左半球)の病変により視覚野から言語野への情報伝達が遮断される機序で生じます。この部位の病変は角回周辺にとどまることが多く、同名性半盲(両側視野の同側半分が見えない)を伴いやすい特徴があります。視覚野と角回の近接解剖学的関係から、この組み合わせが最も随伴しやすいのです。
---
【各選択肢の解説】
1. ブローカ失語 ――― 健忘症候群
❌ 誤り。ブローカ失語は下前頭葉(ブローカ野)の病変で生じ、同側の片麻痺が随伴することが多いです。健忘症候群は海馬・側頭葉内側の病変で生じるため、解剖学的に異なる部位です。
2. ウェルニッケ失語 ――― 片麻痺
❌ 誤り。ウェルニッケ失語は上側頭葉後部(ウェルニッケ野)の病変で、運動皮質とは離れているため片麻痺は随伴しません。むしろ同側の上四分盲が伴う場合があります。
3. 伝導失語 ――― 視覚性失認
❌ 誤り。伝導失語は上側頭葉と下前頭葉を結ぶ弓状束の病変で生じます。視覚性失認は側頭葉・頭頂葉の連合野の広い領域の病変で生じるため、解剖学的な因果関係がありません。
4. 純粋失読 ――― 同名性半盲
✅ 正しい。純粋失読は左半球の角回病変で生じ、この部位の損傷は視覚野(後頭葉)との神経線維も傷める可能性が高いため、同名性半盲(特に右同名性半盲)を随伴することが多いです。
5. 純粋語聲 ――― 構成障害
❌ 誤り。純粋失語症は下前頭葉の病変で、発話の音韻体系の障害です。構成障害(形態知覚困難)は頭頂葉・後頭葉の非言語性領域の病変で生じるため、必ずしも随伴しません。
---
【試験対策ポイント】
失語症の随伴症状(解剖学的部位による神経症状)
| 失語症タイプ | 病変部位 | 随伴しやすい神経症状 | 随伴しにくい症状 |
|---|---|---|---|
| Broca失語 | 下前頭葉 | 同側片麻痺・片感覚障害 | 視覚障害 |
| Wernicke失語 | 上側頭葉後部 | 上四分盲 | 片麻痺 |
| 伝導失語 | 弓状束(白質) | 顕著な神経症状なし | 視覚性失認 |
| 純粋失読 | 角回 | 同名性半盲(右) | 運動障害 |
| 純粋失語症 | 下前頭葉 | 片麻痺 | 構成障害 |
重要な否定知識
- 「失語症 ≠ 必ず片麻痺」:Wernicke失語・伝導失語では運動障害が軽微〜なし
- 「構成障害 ≠ 失語症の随伴症状」:構成障害は頭頂葉の視空間処理障害(非言語性)
- 「健忘症候群 ≠ 失語症タイプの特徴」:海馬病変による記憶障害で、言語体系は保持