STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第23回 言語聴覚士国家試験 第156問

失語症第23回
失語症のリハビリテーションで正しいのはどれか。 a.マッピング訓練では助詞の選択を行う。 b.Schuellの刺激法で適切な刺激とは聴覚刺激のことである。 c.キーワード法による仮名1文字の書字訓練では残存機能を活用する。 d.遮断除去法では適切な前刺激の選択が重要である。 e.実用コミュニケーション能力改善のためのアプローチは急性期には行わない。 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — c,d 失語症リハビリテーションの各訓練法の理論的基礎と適用時期に関する問題です。正答はc(キーワード法)とd(遮断除去法)で、これらは失語症の言語機能改善の根拠ある訓練法です。一方、a・b・eは訓練法の定義や適用時期の誤解が含まれています。 --- 【各選択肢の解説】 a. マッピング訓練では助詞の選択を行う。 ❌ 誤り。マッピング訓練は文字や単語と対象(物体や動作)を空間的に結びつけ、その「位置関係」を学習する訓練です。助詞の選択は構文訓練の範疇であり、マッピング訓練の主眼ではありません。 b. Schuellの刺激法で適切な刺激とは聴覚刺激のことである。 ❌ 誤り。Schuellの刺激法では「多感覚刺激」(聴覚・視覚・触覚・運動感覚の複合)が強調されます。聴覚刺激のみに限定することは、同法の基本原理に反しています。 c. キーワード法による仮名1文字の書字訓練では残存機能を活用する。 ✅ 正しい。キーワード法は文字や単語と何らかのキーとなる対象(図・動作・身体部位など)を結びつけ、残存している視覚イメージや動作イメージなどの残存機能を活用して書字機能を回復させるアプローチです。 d. 遮断除去法では適切な前刺激の選択が重要である。 ✅ 正しい。遮断除去法(removal of inhibition)では、反応を遮断している抑制要因を除去するために、患者の反応レベル直下で適切な前刺激を選択し、正反応を引き出すことが成功の鍵です。前刺激の難度調整が極めて重要です。 e. 実用コミュニケーション能力改善のためのアプローチは急性期には行わない。 ❌ 誤り。実用的コミュニケーション能力(会話、伝達能力)の改善は急性期・亜急性期を通じて必要とされています。むしろ早期からの機能的訓練が回復を促進すると考えられています。 --- 【試験対策ポイント】 | 訓練法 | 原理 | 活用する残存機能 | 重要ポイント | |---|---|---|---| | マッピング訓練 | 文字/単語と対象の「位置関係」学習 | 視空間認識能力 | 助詞選択ではなく空間配置 | | Schuellの刺激法 | 多感覚刺激による神経可塑性誘発 | 複数の感覚処理機能 | 「聴覚のみ」では不十分 | | キーワード法 | キーとなる対象との結合 | 視覚イメージ・動作イメージ等 | 残存機能の活用が本質 | | 遮断除去法 | 抑制要因の除去による反応の促通 | 部分的な言語機能 | 前刺激の難度調整が必須 | リハビリテーション時期による選択の指針: - 急性期:実用的コミュニケーション訓練も機能改善訓練も両立 - 亜急性期以降:残存機能活用型訓練が中心
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