第23回 言語聴覚士国家試験 第157問
失語症第23回
重度失語症者の評価で誤っているのはどれか。
- 1.代償手段の使用能力をみる。
- 2.教示は文字で行う。 ✓
- 3.正反応が得られない場合は複数のヒントを与える。
- 4.Yes-No反応の正確さをみる。
- 5.非言語的な象徴機能をみる。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 教示は文字で行う。
重度失語症者は言語理解が著しく障害されているため、文字による教示は理解が得られない可能性が高い。むしろ音声に加え、実演・ジェスチャー・視覚的補助(身振り示す等)などの非言語的手段を組み合わせた教示が有効です。文字のみに依存すると、評価そのものが成立しません。
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【各選択肢の解説】
1. 代償手段の使用能力をみる。
✅ 正しい。重度失語症者は言語による表出が困難なため、ジェスチャー・描画・身振り・指さしなど代償手段の活用能力を把握することは評価と支援の両面で重要です。残存機能を活かした代償戦略は生活の質向上に直結します。
2. 教示は文字で行う。
❌ 誤り。重度失語症者は読解機能も大きく障害されていることが多いため、文字のみの教示は理解困難です。音声+実演+ジェスチャー+視覚的補助など多角的・段階的な教示方法が必須となります。
3. 正反応が得られない場合は複数のヒントを与える。
✅ 正しい。重度失語症の評価では、一度の提示で反応がない場合、段階的ヒント(例:意味ヒント→形態ヒント→音韻ヒント)を与えることで、実際の理解能力や潜在的な反応可能性を引き出せます。これは評価の感度を高めます。
4. Yes-No反応の正確さをみる。
✅ 正しい。重度失語症者でも「はい/いいえ」の2択反応は比較的保存されていることが多く、Yes-No判断の正確さは理解能力の簡便な評価指標となります。実際の臨床評価でよく用いられます。
5. 非言語的な象徴機能をみる。
✅ 正しい。ジェスチャーの理解・産出(例:敬礼のまねをする、バイバイをする)や、対象物と同じ動きができるかなど、言語以外の象徴化能力は、認知機能や実用的コミュニケーション能力を評価する重要な観点です。
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【試験対策ポイント】
重度失語症者の評価の原則
| 評価項目 | 具体的方法 | 根拠 |
|---|---|---|
| 理解能力 | Yes-No反応・ジェスチャー理解・実物指さし | 言語理解が著しく低下しているため、簡潔な2択反応を活用 |
| 表出能力 | 自動反応(挨拶等)・代償手段・絵画説明 | 意図的言語表出は困難だが、自動的反応は残存しやすい |
| 教示方法 | 音声+実演+視覚的補助+繰り返し | 文字のみや言語のみでは理解不可 |
| ヒント手法 | 段階的ヒント(意味→形態→音韻) | 一度の反応が得られない場合も潜在能力を引き出せる |
| 非言語機能 | ジェスチャー理解・産出・同動作模倣 | 言語以外の認知機能を評価し、リハ適応性を判断 |
頻出の落とし穴:「文字は便宜的に見えるが、重度失語症者にとっては音声と同程度か、それ以上に理解困難な場合が多い」という点。これは標準化検査(CADL-SV等)でも実装されています。