STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第23回 言語聴覚士国家試験 第159問

失語症第23回
超皮質性失語でみられないのはどれか。 a.再帰性発話 b.表層性失読 c.補完現象 d.反響言語 e.音韻性錯書 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — a,e 超皮質性失語(transcortical aphasia)は皮質下の白質や皮質の周辺領域の損傷で生じ、復唱能力が保持される特徴があります。復唱が良好であるため「再帰性発話」(復唱依存)と「音韻性錯書」(音韻変換障害)は起こりにくく、むしろ意味理解や書字の問題が目立ちます。 --- 【各選択肢の解説】 a. 再帰性発話 ❌ 誤り(みられない)。再帰性発話は復唱に大きく依存する現象で、復唱能力が障害された失語症(Broca失語やWernicke失語など)でみられます。超皮質性失語は復唱が相対的に保持されているため、この現象は目立ちません。 b. 表層性失読 ✅ みられる。表層性失読(同音異義語の誤読など)は音韻読みの障害で、超皮質性失語患者に見られます。特に超皮質性感覚失語では理解障害が著しいため、読字の意味把握が不正確になります。 c. 補完現象 ✅ みられる。補完現象(文脈から不足した語を補う現象)は超皮質性失語患者が復唱を利用しながら会話を維持するときに観察される重要な特徴です。自動言語がある程度保持されているため起こります。 d. 反響言語 ✅ みられる。反響言語(echolalia:相手の言葉をそのまま繰り返す現象)は超皮質性失語で特に顕著にみられます。自動性の言語能力が比較的保持されていることの表れです。 e. 音韻性錯書 ❌ 誤り(みられない)。音韻性錯書は音韻体系の障害で、音韻変換機構が破綻した失語症(特に伝導失語やBroca失語)でみられます。超皮質性失語では音韻処理系統が比較的保持されているため、音韻錯書は特徴的ではありません。 --- 【試験対策ポイント】 超皮質性失語の特徴整理表 | 特徴 | 超皮質性失語 | 他の失語症 | |---|---|---| | 復唱 | 保持(相対的に良好) | 著しく不良 | | 自動言語 | 比較的保持 | 障害 | | 反響言語 | あり | なし(Wernicke失語除く) | | 補完現象 | あり | 不明瞭 | | 理解 | 超皮質性運動型は良好/感覚型は不良 | 型により異なる | 超皮質性失語では「復唱が保持される」が最大のポイント。これが「再帰性発話がない」「音韻性錯書がない」理由です。 **超皮質性運動失語(非流暢型)vs超皮質性感覚失語(流暢型)** - 前者:発話量少ないが理解良好、復唱可能 - 後者:発話流暢だが理解不良、復唱可能(伝導失語との最大の違い) **失語症における「錯書」の分類** - 音韻性錯書:音韻体系障害(伝導失語・Broca失語の特徴) - 意味性錯書:意味理解障害(Wernicke失語・超皮質性感覚失語の特徴)
関連

▶ 第23回 全問一覧

▶ 失語症 の過去問一覧