第23回 言語聴覚士国家試験 第16問
形成外科学第23回
顔面裂の一種と考えられる疾患はどれか。
- 1.メビウス症候群
- 2.クルーゾン症候群
- 3.ポーランド症候群
- 4.ピエール・ロバン症候群
- 5.トリーチャー・コリンズ症候群 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — トリーチャー・コリンズ症候群
トリーチャー・コリンズ症候群は第1、第2鰓弓の発育異常による症候群であり、顔面裂(特に斜行顔面裂)の典型例とされています。下顎骨の形成不全、頬骨の発育不全、耳介の奇形を特徴とし、顔面骨格の形成異常が顔面裂の分類に含まれます。
---
【各選択肢の解説】
1. メビウス症候群
❌ 誤り。脳神経核(特に外転神経核と顔面神経核)の形成不全による先天性疾患で、両側性の顔面神経麻痺が特徴です。顔面裂ではなく「神経障害」が本態であり、顔面骨格の形成異常ではありません。
2. クルーゾン症候群
❌ 誤り。線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)遺伝子異常による早期頭蓋骨癒合症です。頭蓋骨の早期癒合が主体で、顔面裂の分類には含まれません。額の突出、眼球突出、咬合異常を示します。
3. ポーランド症候群
❌ 誤り。大胸筋の部分的あるいは完全欠損を主徴とする症候群で、胸壁奇形が本態です。顔面骨格の異常ではなく、顔面裂とは分類されません。
4. ピエール・ロバン症候群
❌ 誤り。下顎骨の形成不全(マイクログナシア)に続発する舌下垂、気道狭窄を特徴とします。下顎骨単独の形成異常であり、顔面裂(複数の顔面骨格の形成異常)ではありません。
5. トリーチャー・コリンズ症候群
✅ 正しい。第1、第2鰓弓由来の組織(下顎骨、頬骨、耳介など)の形成不全を示し、斜行顔面裂に分類されます。常染色体優性遺伝(TCOF1遺伝子)で、両側対称性の顔面骨格異常が典型です。
---
【試験対策ポイント】
顔面裂の定義:複数の顔面骨格の形成異常による顔面の形態異常
| 症候群 | 病態分類 | 主要な奇形 | 顔面裂か |
|---|---|---|---|
| トリーチャー・コリンズ | 第1・2鰓弓異常 | 下顎骨・頬骨・耳介欠損 | ✓ |
| ピエール・ロバン | 下顎骨単独異常 | 下顎骨形成不全→舌下垂 | ✗ |
| クルーゾン | 頭蓋骨早期癒合 | 頭蓋骨・眼窩異常 | ✗ |
| メビウス | 脳神経核形成不全 | 両側顔面神経麻痺 | ✗ |
| ポーランド | 胸壁奇形 | 大胸筋欠損 | ✗ |
鰓弓由来組織:顔面下半部・中顔面の骨格・筋・神経血管系→これらの複合異常が「顔面裂」