第23回 言語聴覚士国家試験 第161問
失語症第23回
外傷性脳損傷後のコミュニケーション障害の特徴はどれか。
a.場面にふさわしい話題を選択できない。
b.ナラティブの基底(意味)構造の処理が保たれる。
c.話し手と聞き手の役割を適切に交替できる。
d.相手の発話意図や言外の意味を推論できない。
e.注意障害や遂行機能障害が関与する。
1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — a,d,e
外傷性脳損傷後のコミュニケーション障害は、古典的な失語症とは異なり、実行機能・注意・社会的認知の障害が主体となります。**場面の理解不足**「言外の意味推論の困難」「認知機能低下」が特徴で、言語体系自体の崩壊は起こりません。
---
【各選択肢の解説】
a. 場面にふさわしい話題を選択できない。
✅ 正しい。外傷性脳損傷後の高次脳機能障害では、前頭葉機能低下により社会的文脈の理解や行動調整が障害されるため、場面に応じた適切な話題選択ができなくなります。
b. ナラティブの基底(意味)構造の処理が保たれる。
❌ 誤り。実は外傷性脳損傷後は、ナラティブの論理的構造や因果関係の処理が障害されることが多く、基底構造の処理そのものが保たれるわけではありません。
c. 話し手と聞き手の役割を適切に交替できる。
❌ 誤り。実行機能障害により、会話の流れを調整したり相互作用を管理する能力が低下するため、役割交替が適切に行われません。
d. 相手の発話意図や言外の意味を推論できない。
✅ 正しい。前頭葉損傷による推論機能の低下と社会的認知障害により、皮肉・暗喩・間接表現など言外の意味理解が著しく困難になります。
e. 注意障害や遂行機能障害が関与する。
✅ 正しい。外傷性脳損傷後のコミュニケーション障害の本質は、注意配分の困難さと目標指向的行動計画の障害にあり、これらが会話の維持や話題管理を阻害します。
---
【試験対策ポイント】
外傷性脳損傷後のコミュニケーション障害 vs 古典的失語症
| 項目 | 外傷性脳損傷 | 失語症(脳卒中) |
|---|---|---|
| 音韻・文法体系 | 保存される | 崩壊する |
| 主な障害 | 高次認知機能 | 言語処理 |
| 注意・実行機能障害 | 主要症状 | 副次症状 |
| 場面適応性 | 不良 | 症型による |
| 言外の意味推論 | 著しく困難 | 症型による |
| 復唱能力 | 保存されることが多い | 症型で異なる |
キーワード:「前頭葉症候群」「推論機能低下」「社会的認知障害」「実行機能不全」