STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第23回 言語聴覚士国家試験 第183問

運動障害性構音障害第23回
失調性構音障害の評価に有用でない指標はどれか。
  1. 1.発話速度
  2. 2.声門下圧 ✓
  3. 3.発話明瞭度
  4. 4.舌交互運動
  5. 5.最長発声持続時間

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — 声門下圧 失調性構音障害は小脳病変に基づく運動障害であり、その特徴は「リズム・タイミング・協調」の障害です。評価は発話速度・音声・構音・共鳴などの表現機能を中心に行われますが、声門下圧(気流調整)の障害は失調性構音障害の本質的な特徴ではなく、評価の有用性が低いとされています。 --- 【各選択肢の解説】 1. 発話速度 ✅ 正しい。失調性構音障害の特徴的な症状は「スキャニングスピーチ」(断綴性発話)で、発話速度の低下・不規則な速度変化が顕著です。発話速度の測定は診断的価値が高い指標です。 2. 声門下圧 ❌ 誤り。声門下圧(気流調整)の障害は、むしろ弛緩性構音障害(球麻痺)や痙性構音障害に見られやすい所見です。失調性構音障害は「小脳による協調運動制御」の障害であり、気流そのものの制御不全よりも「タイミング異常」が問題となるため、声門下圧は評価の中心指標ではありません。 3. 発話明瞭度 ✅ 正しい。失調性構音障害では音声・構音の乱れにより発話明瞭度が著しく低下します。客観的に測定可能で診断的価値が高いです。 4. 舌交互運動 ✅ 正しい。舌交互運動検査(舌の繰り返し運動:「ラララ…」)は、小脳性運動障害を診断するための標準的検査法です。失調性構音障害では「ジスディアドコキネジア」(交互運動の不規則化)が典型的です。 5. 最長発声持続時間(MPT) ✅ 正しい。最長発声持続時間は音声制御能力の評価指標で、失調性構音障害でも音声の安定性低下により短縮傾向が見られます。一般的な構音障害評価として有用です。 --- 【試験対策ポイント】 Mayo分類における各タイプと気流評価の関連性 | 構音障害のタイプ | 原因病巣 | 声門下圧の異常 | 発話速度 | 舌交互運動 | |---|---|---|---|---| | 痙性 | 両側錐体路 | あり(高い) | 低下傾向 | 低下 | | 弛緩性 | 下位運動ニューロン | あり(低い) | 低下 | 低下 | | **失調性** | **小脳** | **なし(正常)** | **不規則** | **ジスディアドコキネジア** | | 運動低下性 | 錐体外路 | あり | 低下 | 低下傾向 | | 混合性 | 複数部位 | あり(複雑) | 低下 | 低下 | 失調性構音障害の評価ポイント - 「気流制御」よりも「タイミング・リズム・協調」を評価する - スキャニングスピーチ、ジスディアドコキネジア、力の調整不全が診断的特徴 - 声門下圧測定は失調症の診断には直接的価値がない(むしろ他タイプの区別に有用) - 小脳障害では「呼吸との同期」より「構音運動の協調性の乱れ」が主要障害
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