第23回 言語聴覚士国家試験 第195問
補聴器・人工内耳第23回
補聴器装用者の訴えと対応との組合せとして誤っているのはどれか。
- 1.自分の声がこもる。 ――― ベントをあける。
- 2.エアコンの音がうるさい。 ――― 雑音抑制機能を作動させる。
- 3.紙をめくる音がうるさい。 ――― ダンパーを挿入する。
- 4.ハウリングする。 ――― 高音の利得を下げる。
- 5.言葉がはっきり聞こえない。 ――― 低音の利得を上げる。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 言葉がはっきり聞こえない。 ――― 低音の利得を上げる。
言葉の聞こえにくさは、通常「高音域(特に2000Hz以上)の聞こえ」に関連します。低音の利得を上げると、むしろ子音認識が悪くなり、言葉がさらに不明瞭になります。言葉がはっきり聞こえない場合は「高音の利得を上げる」か「周波数特性を調整」すべきです。
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【各選択肢の解説】
1. 自分の声がこもる。 ――― ベントをあける。
✅ 正しい。耳栓がふさがることで低音が増強される(オクルージョン効果)ため、自声がこもります。ベント(通気孔)を開けると低音が外に逃げ、こもり感が軽減されます。
2. エアコンの音がうるさい。 ――― 雑音抑制機能を作動させる。
✅ 正しい。エアコンのような一定周波数の環境音(低~中音域が主)は、雑音抑制機能(ノイズキャンセレーション)で軽減できます。これは背景雑音を選別する機能です。
3. 紙をめくる音がうるさい。 ――― ダンパーを挿入する。
✅ 正しい。紙をめくる音は高周波成分が強く、共鳴を増幅させます。ダンパー(音響抵抗体)をレシーバーチューブに挿入すると、高周波の過度な増幅が減衰し、不快な高音が軽減されます。
4. ハウリングする。 ――― 高音の利得を下げる。
✅ 正しい。ハウリングは主に高周波帯域で生じるため、高音の利得を低下させるか、フィードバック抑制機能を使用することで改善できます。
5. 言葉がはっきり聞こえない。 ――― 低音の利得を上げる。
❌ 誤り。言葉の聞こえにくさの原因は主に高音域(2000~4000Hz付近の子音認識領域)の不足です。低音を上げると言葉はさらに不明瞭になります。正しい対応は「高音の利得を上げる」または「周波数特性を言語音中心に調整する」ことです。
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【試験対策ポイント】
補聴器の音響調整:原因と対応の関係
| 訴え | 原因 | 対応 | 周波数帯域 |
|---|---|---|---|
| 自分の声がこもる | オクルージョン効果 | ベントを開ける | 低音増強を除去 |
| 環境雑音がうるさい(エアコン等) | 一定周波数の背景音 | 雑音抑制機能ON | 選別機能 |
| 高周波雑音がうるさい(紙音等) | 高周波過度増幅 | ダンパー挿入 | 高周波減衰 |
| ハウリング | フィードバック | 高音利得低下 | 高周波帯域 |
| 言葉がはっきり聞こえない | 高音域不足 | 高音利得UP | 2000~4000Hz |
キーワード:
- 子音認識=高音域(特に2000Hz以上)
- 低音=母音・環境音に富む
- ダンパー=高周波の共鳴を抑制
- ベント=低音を逃がす(オクルージョン効果対策)