第23回 言語聴覚士国家試験 第27問
臨床心理学第23回
正しいのはどれか。
- 1.要求水準は社会的欲求の水準である。
- 2.食物は食行動を駆動する誘因である。 ✓
- 3.コンフリクトは基本的な情動である。
- 4.内発的動機づけは賞や罰を必要とする。
- 5.性の動機づけは個体維持的な動機づけである。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 食物は食行動を駆動する誘因である。
誘因(インセンティブ)とは、行動を引き出す外部環境の刺激であり、食物は実際に食行動を駆動する環境要因です。食物の存在や知覚が食行動を開始・継続させるため、典型的な誘因の例となります。
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【各選択肢の解説】
1. 要求水準は社会的欲求の水準である。
❌ 誤り。要求水準(アスピレーションレベル)とは、個人が自分の目標として設定する達成水準のこと。社会的欲求の水準ではなく、動機づけ理論における個人的な目標設定概念です。欲求の種類(生理的・社会的など)とは別の次元の概念です。
2. 食物は食行動を駆動する誘因である。
✅ 正しい。誘因とは行動を引き出す外部刺激を指します。食物の臭い・見た目・味などの知覚は、食行動を駆動する環境要因であり、典型的な誘因です。内的動因(空腹感)と外的誘因(食物)の相互作用で行動は生起します。
3. コンフリクトは基本的な情動である。
❌ 誤り。コンフリクト(心理的葛藤)は動機づけの現象であり、情動ではありません。基本的な情動は喜び・悲しみ・怒り・恐怖・驚き・嫌悪など、生理的根拠を持つ感情状態です。コンフリクトは複数の動機が相反する状態を示します。
4. 内発的動機づけは賞や罰を必要とする。
❌ 誤り。内発的動機づけは「活動そのものが報酬」である動機づけであり、外部の賞罰は不要です。外部報酬に依存するのは外発的動機づけです。むしろ内発的動機づけが強い場合、外部報酬が導入されると動機づけが低下する現象(報酬の過剰正当化効果)が生じます。
5. 性の動機づけは個体維持的な動機づけである。
❌ 誤り。性の動機づけは「種族維持的」動機づけです。個体維持的動機づけは食欲・睡眠欲など個体の生存に直結する動機ですが、性行動は種族保存が目的であり、異なるカテゴリーに分類されます。
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【試験対策ポイント】
動機づけ理論の基本体系
| 概念 | 定義 | 例示 |
|---|---|---|
| 動因 Drive | 内的状態(欲求) | 空腹感・渇き・性欲 |
| 誘因 Incentive | 外部刺激(環境) | 食物・水・異性 |
| 動機づけ | 行動を方向づける力 | 動因×誘因で生起 |
動機づけの分類
| 分類基準 | タイプ | 特徴 |
|---|---|---|
| 生物学的根拠 | 生理的動機 | 食欲・睡眠欲(個体維持) |
| | 社会的動機 | 愛情欲・親和欲・支配欲 |
| 報酬源 | 内発的 | 活動自体が報酬(自発的) |
| | 外発的 | 外部報酬(賞罰)に依存 |
| 生存意義 | 個体維持的 | 食欲・睡眠欲 |
| | 種族維持的 | 性的動機 |
紛らわしい概念の整理
・コンフリクト:複数の動機の相反。情動ではなく「動機づけの現象」
・要求水準:目標設定。欲求の種類ではなく「