STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第23回 言語聴覚士国家試験 第32問

臨床心理学第23回
クライエント中心療法のセラピストが行うべきことについて正しいのはどれか。 a.来談者との関係の中で自分に正直であろうとする。 b.来談者に対して無条件の肯定的な配慮を提供する。 c.来談者の無意識に焦点を当てて治療する。 d.来談者に特有な認知の歪みを変容しようとする。 e.来談者を共感的に理解しようとする。 1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — a,b,e クライエント中心療法はカール・ロジャーズが創設した心理療法で、セラピストが示すべき態度は「三大条件」として整理されます。セラピストは来談者の内的枠組みを尊重し、共感的理解と無条件の肯定的配慮を通じて、来談者の自己実現を促進することが本質です。 --- 【各選択肢の解説】 a. 来談者との関係の中で自分に正直であろうとする。 ✅ 正しい。ロジャーズの「三大条件」の1つである「本人性(genuineness)」に該当します。セラピストが自分の言動に一貫性を持ち、不誠実な対応をしないことで、信頼関係が成立します。 b. 来談者に対して無条件の肯定的な配慮を提供する。 ✅ 正しい。ロジャーズの「三大条件」の1つである「無条件の肯定的配慮(unconditional positive regard)」です。来談者の行動や発言をすべてあるがままに受容し、評価や条件付けをしないことが治療効果につながります。 c. 来談者の無意識に焦点を当てて治療する。 ❌ 誤り。クライエント中心療法は無意識を深掘りしません。これは精神分析療法の特徴です。クライエント中心療法は来談者の「顕在的な気づき」を重視し、自発的な探索を促します。 d. 来談者に特有な認知の歪みを変容しようとする。 ❌ 誤り。認知の歪みを直接的に修正しようとするのは認知療法・認知行動療法の特徴です。クライエント中心療法はセラピストが積極的に指導や説教をせず、来談者の内発的な変化を信頼します。 e. 来談者を共感的に理解しようとする。 ✅ 正しい。ロジャーズの「三大条件」の1つである「共感的理解(empathic understanding)」です。セラピストが来談者の主観的世界を理解し、その枠組みから世界を見ることが重要です。 --- 【試験対策ポイント】 ロジャーズのクライエント中心療法「三大条件」(必ず覚える) | 条件 | 内容 | セラピストの態度 | |---|---|---| | 本人性(真正性) | 自分に正直であること | 一貫性・誠実性 | | 無条件の肯定的配慮 | あるがままの受容 | 評価・条件付けをしない | | 共感的理解 | 来談者の主観世界を理解 | 相手の立場から世界を見る | 他の療法との対比(紛らわしい選択肢の区別法) | 療法 | 焦点 | セラピストの役割 | |---|---|---| | 精神分析療法 | 無意識の葛藤 | 転移を利用し無意識を意識化 | | 認知療法 | 認知の歪み | 歪みを同定し修正を指導 | | 行動療法 | 不適応的行動 | 強化スケジュール操作 | | クライエント中心療法 | 自己実現 | 条件なき受容と共感 | 出題のポイント - クライエント中心療法では「セラピストが何をするか」ではなく「セラピストがどのような態度であるか」が問われることが多い - 「共感的理解」と「同情」は別物(同情は相手に感情移入しすぎる危険性あり) - 「無条件の肯定的配慮」は来談者の行為を承認することではなく、「人間としての価値を無条件に認める」こと
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