第23回 言語聴覚士国家試験 第5問
病理学第23回
浮腫の原因で誤っているのはどれか。
- 1.脱水 ✓
- 2.静脈圧上昇
- 3.リンパ管閉塞
- 4.血管透過性亢進
- 5.膠質浸透圧低下
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 脱水
浮腫は組織間隙への液体貯留であり、Starlingの法則に基づいて発生します。脱水は逆に体液喪失により浮腫を引き起こさず、むしろ脱水状態では組織間液の減少が生じます。浮腫の原因は「液体が組織間隙に溜まる」ことであり、脱水はこれと相反する病態です。
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【各選択肢の解説】
1. 脱水
❌ 誤り。脱水は体全体の体液が減少した状態であり、浮腫とは相反する病態です。脱水では血管内液が減少し、逆に浮腫は血管内から組織間隙への液体移動の増加を意味します。浮腫の原因として挙げられる選択肢の中で唯一、浮腫を引き起こさない要因です。
2. 静脈圧上昇
✅ 正しい。静脈圧が上昇するとCapillary hydrostatic pressureが上昇し、血管内から組織間隙への液体濾過が増加します。肝硬変による門脈圧亢進やうっ血性心不全が典型例です。
3. リンパ管閉塞
✅ 正しい。リンパ管が閉塞すると、組織間隙から血管内への液体リンパの排出が障害され、組織間隙に液体が蓄積します。がんのリンパ節転移による閉塞がよく見られます。
4. 血管透過性亢進
✅ 正しい。炎症物質(ヒスタミン、サイトカイン)により血管内皮の透過性が亢進すると、蛋白質を含む液体が血管外に漏出し、浮腫が生じます。急性炎症時の浮腫の主要な機序です。
5. 膠質浸透圧低下
✅ 正しい。血漿蛋白質(特にアルブミン)の低下により膠質浸透圧が低下すると、Starlingの法則により組織間隙への液体移動が増加します。肝不全・栄養不良・ネフローゼ症候群での低蛋白血症が原因となります。
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【試験対策ポイント】
Starlingの法則(液体濾過の規定因子)
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組織間隙への液体移動 =
毛細血管内圧↑ + 組織間隙膠質浸透圧↑
− 血管内膠質浸透圧↓ − 組織間隙圧↑
浮腫の4大原因と機序
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| 原因 | 機序 | 臨床例 |
|---|---|---|
| 静脈圧↑ | Capillary hydrostatic pressure↑ | 心不全・肝硬変 |
| リンパ管閉塞 | リンパ排出↓ | がんのリンパ節転移 |
| 血管透過性↑ | 蛋白漏出↑ | 急性炎症・アレルギー |
| 膠質浸透圧↓ | 血漿蛋白↓ | ネフローゼ・肝不全 |
「脱水」との区別
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・脱水 = 体全体の体液喪失(血液濃縮)
・浮腫 = 組織間隙への液体蓄積(局所的)
→ この問題の肝:脱水は浮腫の原因ではなく、寧ろ相反する病態