第23回 言語聴覚士国家試験 第56問
失語症第23回
正しいのはどれか。
- 1.伝導失語では読み書きが保たれる。
- 2.交叉性失語は左利き右半球損傷で生じる。
- 3.ブローカ失語では聴覚的理解が保たれる。
- 4.失語症では意図性と自動性の乖離がある。 ✓
- 5.ウェルニッケ失語では無意味語の復唱ができる。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 失語症では意図性と自動性の乖離がある。
失語症患者は、意識的・意図的な言語使用は著しく障害されるが、自動化された言語表出(呪詛、自動音列、歌詞など)は比較的保たれることが多い。この意図性と自動性の解離は失語症の診断的特徴の一つです。
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【各選択肢の解説】
1. 伝導失語では読み書きが保たれる。
❌ 誤り。伝導失語では復唱が著しく不良である特徴的障害がありますが、読み書きも同程度に障害される傾向があります。むしろ伝導失語の患者が読み書きで良好な成績を示すことはまれです。
2. 交叉性失語は左利き右半球損傷で生じる。
❌ 誤り。交叉性失語は「一見、左半球損傷で予想される失語の症状を呈しているが、実は反対側(右)半球の損傷で生じている」という稀な現象です。左利き右半球損傷という条件だけでは交叉性失語の定義にはなりません。
3. ブローカ失語では聴覚的理解が保たれる。
✅ 正しい。ブローカ失語の3軸分類:流暢性「非流暢」、理解「良好」、復唱「不良」。聴覚的理解は相対的に保たれているのが特徴ですが、複文や文法的に複雑な内容では低下することがあります。
4. 失語症では意図性と自動性の乖離がある。
✅ 正しい。これが正答です。失語症患者は随意的な言語産生は大きく障害されますが、自動化された言語行動(祈り、数唱、よく使う言葉など)は比較的良好に保存されることがあります。この解離は失語症の重要な臨床的特徴です。
5. ウェルニッケ失語では無意味語の復唱ができる。
❌ 誤り。ウェルニッケ失語の特徴は「流暢だが理解不良+復唱不良」です。無意味語であっても音を繰り返すだけなので復唱能力が保たれていると見えるかもしれませんが、実際には復唱も著しく不良です。音の保存的保存(パロットのようにおうむ返し)ができるわけではありません。
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【試験対策ポイント】
意図性と自動性の乖離(失語症の重要特性)
| 場面 | 意図性(随意的表出) | 自動性(自動化された表出) |
|---|---|---|
| 日常会話 | 著しく障害される | 比較的保存されることあり |
| 具体例 | 質問への応答 | 呪詛・数唱・歌・祈り・ありふれた句 |
| 臨床的意義 | 失語症の重症度を反映 | 回復可能性の示唆や動機づけに活用 |
ブローカ失語の3軸(よく出題される)
- 流暢性:非流暢(発話が遅く努力的)
- 理解:良好(複雑文では低下)
- 復唱:著しく不良(これが診断的特徴)
- 読み書き:低下(言語の中核障害で全様式に波及)
ウェルニッケ失語との区別法
- Broca失語:頭部を左へ傾ける、モジモジしている
- Wernicke失語:自発性が高く流暢だが内容がない(言語流暢症)
交叉性失語のポイント
- 稀な現象で、左利きの言語優位側が右半球にある場合に生じる
- 出題時は「右半球損傷で失語症が出た」と逆説的に