第23回 言語聴覚士国家試験 第58問
失語症第23回
語音認知障害があると困難になる言語課題はどれか。
a.呼称
b.読解
c.非語音読
d.非語復唱
e.仮名1文字の書取
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — d.非語復唱,e.仮名1文字の書取
語音認知障害とは、聴覚的に言語音を認知・区別できない障害です。言語音そのものの弁別が困難なため、「聞いた音を正確に認識する」ことが必要な課題で特に困難が生じます。非語復唱と仮名1文字の書取は、両者ともこうした音の聴覚認知に直結する課題であり、語音認知障害の影響を最も強く受けます。
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【各選択肢の解説】
a. 呼称
❌ 誤り。呼称課題は視覚的刺激(物品やイラスト)を見て名前を言う課題であり、聴覚的な語音認知が主要な要件ではありません。失語症タイプ(命名失語など)による影響は受けますが、語音認知障害の特異的な困難ではありません。
b. 読解
❌ 誤り。読解は文字情報を視覚的に処理する課題です。聴覚的な語音認知を必要としないため、語音認知障害の影響を直接受けません。むしろ視覚的言語処理能力に依存します。
c. 非語音読
❌ 誤り。非語音読は「文字を見て音読する」課題であり、視覚的な文字処理と発話がメインです。聴覚的な語音認知が成立していなくても、文字から音への変換ルール(音韻変換)があれば遂行可能です。
d. 非語復唱
✅ 正しい。非語復唱は「意味を持たない音列(例:『バリロ』『タメシ』など)を聞いて、正確に復唱する」課題です。意味による補助がなく、純粋に聴覚的に認知した音を正確に知覚・分析・弁別する必要があり、語音認知障害があると著しく困難になります。
e. 仮名1文字の書取
✅ 正しい。仮名1文字の書取では「聞いた音が何であるかを正確に認知」し、それに対応する仮名を想起・記述します。語音認知が不完全だと、聞いた音の同定自体が困難になり、間違った仮名を書くようになります(例:「バ」と言ったのを「マ」と聞き間違える)。
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【試験対策ポイント】
語音認知障害の影響を受ける課題の特徴:
- 聴覚的な言語音の入力が必須
- 意味による補助が最小限(非語音など)
- 音の弁別・同定がダイレクトに必要
語音認知障害の影響が少ない課題:
- 視覚的入力が主体(読解・音読)
- 意味による補助が豊富(会話・文脈理解)
- 文字や物体から出力する課題(呼称)
重要な区別:
| 課題 | 入力様式 | 認知負荷 | 語音認知障害の影響 |
|---|---|---|---|
| 非語復唱 | 聴覚(非意味) | 高 | 著明 |
| 非語音読 | 視覚 | 中 | なし |
| 仮名1文字書取 | 聴覚+音の同定 | 高 | 著明 |
| 呼称 | 視覚 | 低 | なし |
| 読解 | 視覚 | 中~高 | なし |
人工内耳患者など語音認知障害を評価する際は、上記課題の成績パターンで診断精度が向上します。