STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第23回 言語聴覚士国家試験 第62問

高次脳機能障害第23回
せん妄について誤っているのはどれか。
  1. 1.意識混濁に精神・身体の興奮性が加わる。
  2. 2.身体的侵襲に脳損傷が加わって出現する。 ✓
  3. 3.夜間に増悪しやすい。
  4. 4.症状の変動が大きい。
  5. 5.人物誤認がみられる。

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — 身体的侵襲に脳損傷が加わって出現する。 せん妄は身体的侵襲(感染症・薬剤・脱水など)やそうした状態下での脳への間接的な影響によって出現する急性・一過性の意識障害です。脳損傷それ自体がせん妄の必須要因ではなく、むしろ脳損傷によって直接出現する意識障害は「昏迷」などであり、せん妄とは異なる概念です。 --- 【各選択肢の解説】 1. 意識混濁に精神・身体の興奮性が加わる。 ✅ 正しい。せん妄の定義的特徴です。軽度の意識混濁を背景に、見当識障害・幻覚・精神運動興奮が加わり、多様な精神症状を呈します。 2. 身体的侵襲に脳損傷が加わって出現する。 ❌ 誤り。せん妄は身体的侵襲(感染症・薬剤・代謝異常など)による脳への間接的な影響で出現します。「脳損傷」は必須要因ではありません。脳梗塞や脳外傷による直接的な脳損傷は昏迷や健忘症候群を引き起こし、せん妄とは別の概念です。 3. 夜間に増悪しやすい。 ✅ 正しい。「日暮れ現象(sundowning)」と呼ばれ、特に夜間から夜明け前に症状が著しく増悪します。これは体内時計の乱れと環境刺激の減少が関連します。 4. 症状の変動が大きい。 ✅ 正しい。せん妄の重要な特徴です。意識清明と混濁が短時間のうちに交代し、見当識障害の程度も刻々と変わります。この変動性が認知症との鑑別ポイントです。 5. 人物誤認がみられる。 ✅ 正しい。見当識障害の一部として、家族を知人と誤認するなどの人物誤認が頻繁に観察されます。 --- 【試験対策ポイント】 【せん妄と脳損傷の関係(重要否定知識)】 | 要素 | せん妄 | 脳損傷による意識障害 | |---|---|---| | 原因 | 身体的侵襲(感染症・薬剤・脱水) | 脳の直接的損傷(梗塞・出血・外傷) | | 脳損傷は必須か | いいえ | はい | | 発症の型 | 急性・短時間 | 急性(外傷)~亜急性(梗塞) | | 主な症状 | 意識混濁+精神運動興奮 | 昏睡・昏迷 | | 見当識障害 | あり(可変的) | 状態による | 【せん妄の診断的特徴5点】 1. 意識混濁+精神運動興奮 2. 急性発症(数時間~数日) 3. 症状の大きな変動(時間単位) 4. 夜間増悪(日暮れ現象) 5. 見当識障害・幻覚・人物誤認 【せん妄の原因メモ(身体的侵襲)】 - 感染症(尿路感染症・肺炎) - 薬剤(ベンゾジアゼピン中止・アルコール中毒) - 代謝異常(脱水・低血糖・肝不全) - 循環不全(心不全・低酸素血症)
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