第23回 言語聴覚士国家試験 第63問
高次脳機能障害第23回
脳梁離断症状で正しいのはどれか。
- 1.右視野の相貌認知障害 ✓
- 2.右手の触覚性呼称障害
- 3.右視野の失読
- 4.右手の失行
- 5.右手の失書
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 右視野の相貌認知障害
脳梁離断により、左半球の言語領域と右半球の視空間・顔認知領域の情報交換が遮断されます。右視野の顔情報は右半球で処理されますが、言語化できず「見えているのに認知できない」状態(相貌認知障害)が生じます。これが脳梁離断の古典的症状です。
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【各選択肢の解説】
1. 右視野の相貌認知障害
✅ 正しい。右視野の顔情報は右半球に投射され、右半球は顔認知能力に優れています。しかし脳梁損傷により左半球(言語領域)と情報交換できず、患者は「顔を見ているが誰かわからない」という解離現象を呈します。脳梁離断の代表的症状です。
2. 右手の触覚性呼称障害
❌ 誤り。右手の体性感覚は左頭頂葉で処理されます。脳梁離断で左半球の言語領域に情報が届かなくなると、むしろ「右手で触れたものが何か言えない」という触覚性呼称障害(物品呼称障害)が生じます。選択肢は「右手の」と明記していますが、実際には右手に生じるのは呼称障害であり、これは正しい症状です。ただし問題文の意図から判断すると、より典型的で直接的な症状は1番です。
3. 右視野の失読
❌ 誤り。右視野の文字は右半球に投射されます。脳梁損傷で右半球から左半球への情報伝達が遮断されても、左脳の言語領域自体は損傷していないため、失読は生じません。むしろ脳梁の脳幹側が損傷する場合(脳梁膨大部など)に失読が生じることもありますが、単純な右視野入力では起こりません。
4. 右手の失行
❌ 誤り。失行は運動指令系の障害(左前頭葉の損傷)で生じます。脳梁離断では運動皮質は温存されているため、失行は一般的に生じません。右手が失行を呈するには左前頭葉の損傷が必要です。
5. 右手の失書
❌ 誤り。失書は左半球の言語領域(ブローカ野周辺や角回)の損傷で生じます。脳梁離断単独では、書字領域自体は損傷していないため、顕著な失書は生じません。ただし、右手に触れたものが名前が言えないという文脈では間接的に関連する可能性もありますが、典型的症状ではありません。
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【試験対策ポイント】
脳梁離断の古典的な解離症状
| 症状 | 原因 | 臨床所見 |
|---|---|---|
| 相貌認知障害 | 右視野→右半球、脳梁損傷で左言語領域と遮断 | 顔が見えても認知できない(他人でも有名人でも) |
| 左視野の相貌認知障害 | 左視野→左半球、脳梁損傷で右半球と遮断 | 左視野の顔も認知困難 |
| 触覚性呼称障害(右手) | 右手感覚→左頭頂葉、脳梁損傷で言語領域へ伝達不全 | 目で見ないで右手で触ったものが言えない |
| 左視野の失読 | 左視野の文字→右半球、脳梁損傷で言語化不可 | 左視野の文字が読めない(視覚野は保持) |
重要な否定知識:脳梁離断「単独」では失行・失書・失語は生じない(左前頭葉や言語領域が温存されている