第23回 言語聴覚士国家試験 第71問
言語発達障害学第23回
小学1年生の自閉症スペクトラム障害女児。給食の時間にパニックを起こすことが多い。考えられる原因と対応との組合せで適切でないのはどれか。
- 1.偏食 ――― 摂食可能な食物や形態に変更する。
- 2.感覚過敏 ――― 音、臭い、味など原因を軽減する。
- 3.活動の切替困難 ――― 一日の活動の見通しが立つようにする。
- 4.意思表現の困難 ――― 拒否を表現できる手段を指導する。
- 5.感情の抑制困難 ――― その場で理由を説明させる。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 感情の抑制困難 ――― その場で理由を説明させる。
感情の抑制困難がある場合、パニック状態で理由を説明させることは逆効果です。自閉症スペクトラム障害児がパニック状態にある時は、刺激を減らし、落ち着きを取り戻すことが優先です。事後的な理由確認は可能ですが、「その場で説明させる」ことは感情をさらに激化させ、問題行動を強化させる危険があります。
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【各選択肢の解説】
1. 偏食 ――― 摂食可能な食物や形態に変更する。
✅ 正しい。自閉症児の偏食は感覚特性や食感へのこだわりが関連しており、強要ではなく段階的に拡大する環境調整が必要です。食べられる範囲から始めることは標準的支援です。
2. 感覚過敏 ――― 音、臭い、味など原因を軽減する。
✅ 正しい。自閉症児は聴覚過敏(食器の音)や嗅覚過敏(給食の臭い)、味覚の特異性を示すことが多いです。原因刺激の軽減は基本的で有効な対応です。
3. 活動の切替困難 ――― 一日の活動の見通しが立つようにする。
✅ 正しい。自閉症児は予測不可能な変化によってパニックを起こしやすいため、視覚的スケジュール提示や時間の構造化が有効です。活動の見通しは適応を大きく高めます。
4. 意思表現の困難 ――― 拒否を表現できる手段を指導する。
✅ 正しい。給食を拒否したい気持ちを適切に表現できなければ、パニックが起こりやすいです。身振り・ボード・手話など代替手段を提供することは問題行動の予防につながります。
5. 感情の抑制困難 ――― その場で理由を説明させる。
❌ 誤り。パニック状態で理由を説明させるのは不適切です。感情激情中は説得・説明が機能せず、むしろ刺激増加によりパニックが悪化します。
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【試験対策ポイント】
自閉症児のパニック対応の原則
| パニック時(その場) | パニック後(落ち着いた時) |
|---|---|
| 刺激減少・クールダウン優先 | 視覚的説明・段階的指導 |
| 強要・説得をしない | 社会的スキル学習 |
| 環境調整 | 原因分析・予防策立案 |
キーワード:ASD児のパニック対応は「その場での行動修正」ではなく「事前環境調整+事後学習」
よくある出題ミス
・「その場で理由を説明させる」=行動主義的アプローチ(有効性低い)
・「落ち着いてから丁寧に説明・指導」=適切な支援(ASDに有効)
感情抑制困難のある子への対応
→ 即座の理由説明ではなく、クールダウン→見通し提示→代替手段指導