STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第23回 言語聴覚士国家試験 第87問

嚥下障害第23回
気管切開が嚥下機能に与える影響として誤っているのはどれか。
  1. 1.声門下圧上昇 ✓
  2. 2.喉頭挙上制限
  3. 3.気道感覚閾値低下 ✓
  4. 4.カニューレのカフによる頸部食道圧迫
  5. 5.吸痰による嘔吐反射誘発

正答:1・3番

解説
# 第23回 第87問 解説 ⚠️ この問題は1番と3番が正答として処理されています。 ■ 正答:1番・3番(複数正答) — 声門下圧上昇/気道感覚閾値低下 気管切開が嚥下機能に与える影響として「誤っているもの」を選ぶ問題です。1番は気管切開により気道が外部に開放されるため、本来は**声門下圧が低下**するのが正しく、「上昇」は誤りです。3番は気管切開によって気流が声門を通過しなくなり喉頭・咽頭への感覚入力が減少するため、感覚閾値は**上昇(感覚鈍麻)**するのが正しく、「低下」は誤りです。両者とも「誤った記述」にあたるため複数正答となりました。 --- 【各選択肢の解説】 1. 声門下圧上昇 ❌ 誤り(=正答)。気管切開孔から空気が漏れるため声門下圧は**低下**し、嚥下時の喉頭閉鎖・喀出力が弱まります。声門下圧の維持は嚥下反射の惹起や効果的な咳嗽に重要であり、その低下は誤嚥リスクを高めます。 2. 喉頭挙上制限 ✅ 正しい影響。カニューレが気管前壁を固定し、周囲組織との癒着も生じるため、嚥下時の喉頭の前上方への挙上が妨げられます。喉頭挙上の制限は食道入口部の開大不全につながります。 3. 気道感覚閾値低下 ❌ 誤り(=正答)。気流が声門を通らなくなることで咽頭・喉頭の感覚入力が減少し、感覚閾値は**上昇**(鈍麻)します。これにより不顕性誤嚥のリスクが高まります。「低下」は誤った記述です。 4. カニューレのカフによる頸部食道圧迫 ✅ 正しい影響。気管の後壁を介してカフが頸部食道を外側から圧迫し、食塊通過障害の原因となります。 5. 吸痰による嘔吐反射誘発 ✅ 正しい影響。吸引カテーテルが咽頭・気管分岐部を刺激し、嘔吐反射や咳嗽反射を誘発することがあり、嚥下のリズムを乱す要因となります。 --- 【試験対策ポイント】 気管切開が嚥下に与える悪影響は以下の4点で整理: - **声門下圧の低下**(喉頭閉鎖力・喀出力低下) - **喉頭挙上の制限**(カニューレによる固定・癒着) - **気道感覚の鈍麻(閾値上昇)**(気流が声門を通らないため) - **カフによる頸部食道圧迫**(食塊通過障害) 「低下」と「上昇」を入れ替えた引っかけが頻出。**声門下圧は低下/感覚閾値は上昇**とセットで覚えること。また、気管切開そのものは誤嚥防止策ではない点も要注意です(カフ付きカニューレでも誤嚥は完全には防げない)。スピーチカニューレやスピーキングバルブの装着により声門下圧を回復させ嚥下機能改善を図るアプローチも併せて押さえておきましょう。
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