第23回 言語聴覚士国家試験 第89問
小児聴覚障害第23回
検査可能な条件として正しい組合せはどれか。
a.COR ――― 首がすわっている。
b.ピープショウ ――― 検査-ボタンを押せる。
c.OAE ――― 泣いていない。
d.ABR ――― 体動がみられる。
e.ティンパノメトリー ――― 鼓膜に穿孔がある。
1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — a,b,c
小児聴覚検査の適用条件を正しく理解することが出題のポイントです。各検査に必要な発達段階や検査環境の条件を把握していることが求められます。
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【各選択肢の解説】
a. COR(条件詳性反応聴力検査)―――首がすわっている。
✅ 正しい。CORは生後6~24ヶ月の乳幼児を対象とした検査で、首がすわっている(概ね生後4~5ヶ月以降)ことが最低条件です。検査者の合図音に対して、乳児が音源方向に頭を向ける反応を観察します。首がすわっていない状態では体位の安定性が悪く、反応の観察が困難になるため、この条件は必須です。
b. ピープショウ(遊戯聴力検査)―――検査者がボタンを押せる。
❌ 誤り。ピープショウの正確な条件は「児(被検者)がボタンを押せる」ことです。生後18ヶ月~3歳頃の幼児が対象で、音が聞こえたらボタンを押すと画面に人形が現れるという報酬系を利用しています。児が能動的にボタン操作できることが検査成立の必須条件であり、検査者ではなく児本人の操作能力が重要です。
c. OAE(耳音響放射)―――泣いていない。
✅ 正しい。OAEは生直後から測定可能な客観的検査ですが、測定の成功には「泣いていない」状態、つまり外耳道の安静が必須です。泣いている状態では外耳道内に過度な音圧が生じ、プローベの密閉状態が悪くなり、ノイズレベルが上昇して測定が失敗します。新生児スクリーニングでは授乳後の入眠時の測定が推奨されるのはこのためです。
d. ABR(脳幹聴覚誘発反応)―――体動がみられる。
❌ 誤り。ABRは客観的検査の最大の利点は「体動や協力の有無に左右されない」という点です。むしろ体動がみられると筋電図ノイズが増加し、波形の判読が困難になります。ABRは睡眠状態(自然睡眠または鎮静下)が理想的で、体動は測定品質を低下させるため、正確には「体動がない方が望ましい」です。
e. ティンパノメトリー―――鼓膜に穿孔がある。
❌ 誤り。ティンパノメトリーは中耳機能検査であり、測定原理は外耳道内に一定圧の音波を送り、鼓膜のコンプライアンス(動きやすさ)を測定するものです。鼓膜に穿孔があると、外耳道と中耳腔が交通するため、鼓膜のコンプライアンス測定が不可能になり、検査は実施不可となります。鼓膜が完全に密閉された状態が検査の必須条件です。
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【試験対策ポイント】
| 検査法 | 対象月齢 | 検査可能の必須条件 | 検査不可または困難な条件 |
|---|---|---|---|
| OAE | 生直後~ | 泣いていない(外耳道安静) | 泣いている、中耳液貯留、耳垢栓塞 |
| ABR | 生直後~ | 睡眠状態(鎮静可) | 体動が多い(ノイズ増加) |
| COR | 6~24ヶ月 | 首がすわっている | 首がすわらない(~5ヶ月) |
| ピープショウ | 18ヶ月~3歳 | 児がボタン