第23回 言語聴覚士国家試験 第91問
小児聴覚障害第23回
小児の滲出性中耳炎について正しいのはどれか。
a.片側性が多い。
b.耳閉塞感を主訴に受診する。
c.中耳腔は陽圧になっている。
d.口蓋裂児では合併率が高い。
e.鼓膜チューブ留置によって聴力は改善する。
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — d. 口蓋裂児では合併率が高い。e. 鼓膜チューブ留置によって聴力は改善する。
小児滲出性中耳炎は、中耳腔に液体が貯留する疾患です。d・eの2つが正しく、その他の選択肢は小児患者の特性と矛盾しています。
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【各選択肢の解説】
a. 片側性が多い。
❌ 誤り。小児滲出性中耳炎は両側性が多いです。上気道感染に続発することが多く、鼻咽腔の耳管咽頭口の機能不全により両側性に進行します。成人では片側性が多く、悪性腫瘍などの器質的障害が疑われますが、小児では異なります。
b. 耳閉塞感を主訴に受診する。
❌ 誤り。小児患者は耳閉塞感を訴えることがまれです。主訴は「難聴」「言葉の発達遅延」「聴き返しが増える」など、保護者が気づく聴覚症状です。耳閉塞感は成人患者に特有の訴えとされています。
c. 中耳腔は陽圧になっている。
❌ 誤り。滲出性中耳炎では中耳腔は陰圧です。耳管機能不全により、中耳腔の空気が吸収され、相対的に陰圧になります。この陰圧により液体が中耳腔に貯留します。陽圧ではなく陰圧が特徴です。
d. 口蓋裂児では合併率が高い。
✅ 正しい。口蓋裂児では耳管を構成する翼突筋が発育異常を示すため、耳管機能が低下し、滲出性中耳炎の合併率は極めて高い(60~80%)です。これは小児滲出性中耳炎の重要な risk factor です。
e. 鼓膜チューブ留置によって聴力は改善する。
✅ 正しい。鼓膜チューブ(換気チューブ)留置により、中耳腔の液体が排出され、中耳腔内の気・液バランスが回復します。これにより、伝音性難聴は改善し、聴力も回復します。チューブ脱出後の鼓膜穿孔は通常自然閉鎖します。
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【試験対策ポイント】
小児滲出性中耳炎の特徴
| 項目 | 特徴 |
|---|---|
| 側性 | 両側性が多い(成人は片側→悪性腫瘍警戒) |
| 主訴 | 難聴、言葉発達遅延、聴き返し増加(耳閉塞感はまれ) |
| 中耳圧 | 陰圧(液体貯留の原因) |
| 難聴型 | 伝音性難聴(可逆的) |
| ティンパノメトリー | C型(陰圧) |
| 高危険児 | 口蓋裂、Down症候群、免疫不全 |
| 治療 | 鼓膜チューブ留置(聴力改善) |
口蓋裂児の耳管機能障害
- 翼突筋の異常走行(上咽頭腔側付着異常)
- 耳管開口部の狭窄
- 耳管周囲の瘢痕形成
→ 合併率60~80%(極めて高い)
成人片側性滲出性中耳炎の鑑別
- 咽頭癌による耳管圧迫
- 増殖腺肥大(成人では稀)
- 悪性リンパ腫
チューブ留置後の長期経過
- 聴力改善:中耳液体吸収により回復
- 鼓