STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第23回 言語聴覚士国家試験 第96問

聴力検査第23回
オージオグラムを示す。推定される臨床像として適切なのはどれか。(図あり)
  1. 1.EAS(残存聴力活用型人工内耳)の適応となる。 ✓
  2. 2.身体障害者程度等級の2級に該当する。
  3. 3.子音の聞き取りは障害されない。
  4. 4.ドアの開閉音を聞き取れない。
  5. 5.耳小骨固着の存在を推定する。
第23回第96問 図

正答:1番

解説
■ 正答:1番 — EAS(残存聴力活用型人工内耳)の適応となる。 EASは低周波数帯の残存聴力を活用し、高周波数帯を人工内耳で補償する装置です。本問のオージオグラムが「低周波数での比較的良好な聴力と高周波数での著しい聴力低下」というパターンを示している場合、EASの適応となります。このような周波数別の聴力パターン(スロープ型難聴)がEASの最適な適応例です。 --- 【各選択肢の解説】 1. EAS(残存聴力活用型人工内耳)の適応となる。 ✅ 正しい。EASは特に低周波数に残存聴力がある場合に適応となります。スロープ型の聴力図(低周波数保持・高周波数低下)はEASの典型的な適応パターンです。従来の人工内耳では低周波数の残存聴力が失われるため、EASにより両者の利点を活用できます。 2. 身体障害者程度等級の2級に該当する。 ❌ 誤り。身体障害者程度等級は両耳の聴力レベルの合計値で判定されます。2級は「両耳の聴力レベルが100dB以上」の最重度です。スロープ型難聴の場合、低周波数での聴力が比較的保持されているため、通常は2級に該当せず、3級(両耳100dB以上の一部)または4級(両耳70dB以上)に相当することが多いです。 3. 子音の聞き取りは障害されない。 ❌ 誤り。子音は高周波数帯(特に2kHz~8kHz)に多くのエネルギーを持ちます。スロープ型難聴で高周波数が低下している場合、子音の聞き取りは著しく障害されます。「シ」「ス」「チ」などの摩擦音や破裂音は特に聞き取りが困難になります。 4. ドアの開閉音を聞き取れない。 ❌ 誤り。ドアの開閉音は低周波数帯(125Hz~1kHz)の成分が主体です。スロープ型難聴では低周波数の聴力が比較的保持されているため、ドアの開閉音は聞き取ることができます。むしろ高周波数の環境音(呼び鈴、電話音など)の聞き取りが困難になります。 5. 耳小骨固着の存在を推定する。 ❌ 誤り。耳小骨固着(アブミ骨固着が典型)は空気骨導差がほぼ0に近い「air-bone gap がない」状態を呈します。スロープ型難聪は感音難聴のパターンであり、空気骨導差が存在する伝音難聴とは異なります。骨導値も同様のスロープパターンを示すため、耳小骨固着を推定する根拠にはなりません。 --- 【試験対策ポイント】 人工内耳関連の知識: | 装置タイプ | 適応聴力 | 特徴 | |---|---|---| | 従来型CI(人工内耳) | 両耳の聴力レベルが90dB以上 | 全周波数を電気信号に変換 | | EAS | 低周波数に残存聴力+高周波数に重度難聴 | 低周波数は音響的に、高周波数は電気信号で補償 | | 補聴器 | 軽度~中等度難聴 | 音響増幅 | スロープ型難聴の特徴: - 低周波数帯の聴力が比較的保持される - 高周波数帯の聴力が急速に低下 - 会話音の理解は可能だが、子音が聞き取りにくい - EASの理想
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