第23回 言語聴覚士国家試験 第98問
補聴器・人工内耳第23回
裸耳利得(オープンイヤ・ゲイン)について誤っているのはどれか。
- 1.耳介で受けた音が外耳道に集められて音が増幅される。
- 2.健聴者には誰にでもみられるものである。
- 3.10dBから20dBの増幅がある。
- 4.低音域から高音域まで増幅される。 ✓
- 5.補聴器装用によって失われる。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 低音域から高音域まで増幅される。
裸耳利得(オープンイヤ・ゲイン)は、耳介と外耳道の共鳴特性により生じる音の増幅現象ですが、その増幅は周波数特性が一様ではありません。特に高音域(2kHz~5kHz付近)で顕著な増幅が生じ、低音域ではこの効果が限定的です。したがって「低音域から高音域まで均等に増幅される」という記述は誤りです。
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【各選択肢の解説】
1. 耳介で受けた音が外耳道に集められて音が増幅される。
✅ 正しい。耳介の集音作用と外耳道の共鳴により、音が外耳道入口で増幅される。これが裸耳利得の機序です。
2. 健聴者には誰にでもみられるものである。
✅ 正しい。裸耳利得は人間の耳の解剖学的特性に基づいており、聴力正常な全ての人に普遍的に存在する現象です。
3. 10dBから20dBの増幅がある。
✅ 正しい。外耳道の長さ(約2.5cm)と形状により、通常10~20dB程度の増幅が生じます。個人差や周波数により若干の変動があります。
4. 低音域から高音域まで増幅される。
❌ 誤り。裸耳利得は周波数依存性があり、特に高音域(2~5kHz)で最大の増幅(ピーク5~10dB程度)を示します。低音域ではこの効果が著しく小さいため、「均等に増幅される」という記述は不正確です。
5. 補聴器装用によって失われる。
✅ 正しい。完全耳栓型補聴器(カナル型)を装用すると、外耳道が塞がれるため裸耳利得の効果が失われます。これにより「耳栓効果」という問題が生じ、低音のハウリングが増加することがあります。
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【試験対策ポイント】
裸耳利得の基本特性:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 増幅量 | 10~20dB(個人差あり) |
| 周波数特性 | 高音域(2~5kHz)で顕著 |
| 外耳道共鳴周波数 | 約3~4kHz |
| 存在性 | 全健聴者に普遍的 |
| 補聴器装用時 | 失われる(特にカナル型) |
紛らわしい知識の区別:
- 「全周波数で均等」と「周波数別のピークあり」→ 後者が正確
- 補聴器で「代償可能」ですが「完全には回復できない」場合もあり
- 耳栓効果は低音ハウリングの増加につながるため、オープン型や骨導補聴器の利用が検討されることがある