第24回 言語聴覚士国家試験 第112問
耳鼻咽喉科学第24回
発声時呼吸気流率の増加によって最長発声持続時間が短縮するのはどれか。
- 1.拘束性肺疾患
- 2.反回神経麻痺 ✓
- 3.パーキンソン病
- 4.緊張性発声障害
- 5.内転型痙攣性発声障害
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 反回神経麻痺
反回神経麻痺で声帯が正中から側方に固定されるため、声帯の閉鎖不全により呼気流が漏出し、発声時呼吸気流率が増加します。限られた肺容量を無駄に消費するため、最長発声持続時間(MPT)が著しく短縮します。
---
【各選択肢の解説】
1. 拘束性肺疾患
❌ 誤り。拘束性肺疾患は肺容量の減少により肺活量が低下していますが、発声時呼吸気流率は正常範囲です。MPTの短縮は肺活量の減少が主原因であり、呼気流の増加ではありません。
2. 反回神経麻痺
✅ 正しい。声帯が外転位で固定され、声帯閉鎖不全となります。結果として呼気流の漏出が増加し、呼吸気流率が増加するため、MPTが短縮します。一側性では気息性嗄声、両側性では呼吸困難を呈します。
3. パーキンソン病
❌ 誤り。パーキンソン病は運動低下性構音障害で、発声時呼吸気流率は正常~むしろ低下傾向です。MPTの短縮は、音声開始の困難さや声量の低下が主因であり、呼気流の増加ではありません。
4. 緊張性発声障害
❌ 誤り。緊張性発声障害(特に開放型)は声帯過緊張により閉鎖が良好で、発声時呼吸気流率は低下傾向です。むしろMPTは正常~延長することもあります。呼気流の増加が主症状ではありません。
5. 内転型痙攣性発声障害
❌ 誤り。内転型痙攣性発声障害は声帯の過度な内転により、呼気流の通過が阻害されます。呼吸気流率は低下し、音声が途切れ途切れになります。呼気流の増加ではなく、逆に減少が特徴です。
---
【試験対策ポイント】
■ 最長発声持続時間(MPT)の決定要因
| 要因 | MPT への影響 | 理由 |
|---|---|---|
| 肺活量(肺容量) | 関与する(限定的) | 肺活量が少なければMPT短縮の素地がある |
| 発声時呼吸気流率 | **直接決定** | 漏出が多いほど、同じ肺容量を早く消費 |
| 声帯閉鎖性 | **最重要** | 閉鎖不全=呼気流の増加=MPT短縮 |
| 音声強度 | 影響する | 大きい音声ほど気流が多い |
■ 反回神経麻痺の特徴
- 声帯位置:外転位(唯一の声帯外転筋は反回神経支配)
- 音声症状:気息性嗄声(呼気漏出)
- 呼吸気流率:増加(声帯閉鎖不全)
- MPT:著しく短縮(典型的な所見)
- 側性による症状の差:一側性は気息性嗄声、両側性は呼吸困難(外転筋がないため声帯が内転位に寄る)
■ 各疾患とMPTの関係
- 反回神経麻痺:短縮(呼気流↑)
- 上喉頭神経外枝麻痺:短縮(声量↓、音高↓)
- 声帯ポリープ:短縮(閉鎖不全)
- パーキンソン病:短縮(音声開始困難、声量↓)
- 拘束性肺疾患:短縮(肺活