STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第24回 言語聴覚士国家試験 第145問

言語発達学第24回
前言語期の発達として誤っているのはどれか。
  1. 1.相手が指さした対象物に注意を向ける。
  2. 2.モーラ単位でリズムを刻む遊びをする。 ✓
  3. 3.新奇な事態に出会うと大人の情動反応をモニターする。
  4. 4.やりとりのある遊びでパターンを理解して予期反応を示す。
  5. 5.物をかざし大人に見せる。

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — モーラ単位でリズムを刻む遊びをする モーラ単位でのリズム遊びは、言語の音韻体系に関する理解が必要であり、これは前言語期(生後12ヶ月以前)には発達していない能力です。前言語期はまだ言語構造(モーラ概念)を習得していない段階であり、音韻的分析を要するこの活動は幼児期以降の言語発達段階に属します。 --- 【各選択肢の解説】 1. 相手が指さした対象物に注意を向ける。 ✅ 正しい。生後10~12ヶ月では三項関係(自分・相手・対象物)の成立が見られ、相手の指差し指示に注意を向ける能力が発達します。これは他者の意図を理解する重要な前言語スキルです。 2. モーラ単位でリズムを刻む遊びをする。 ❌ 誤り。モーラ(日本語の音韻単位)の認識と処理は、言語体系を習得した幼児期以降の発達段階です。前言語期の乳幼児はまだ音の抽象的分類ができていません。 3. 新奇な事態に出会うと大人の情動反応をモニターする。 ✅ 正しい。生後8~10ヶ月で「社会的参照」(social referencing)と呼ばれる能力が発達し、不確かな状況で大人の表情や反応から情報を得て行動を調整します。前言語期の重要な発達メカニズムです。 4. やりとりのある遊びでパターンを理解して予期反応を示す。 ✅ 正しい。いないいないばあなどの相互作用遊びを通じて、生後6~9ヶ月の乳幼児は「ゲーム的相互作用」のパターンを理解し、次の展開を予期する能力を発達させます。 5. 物をかざし大人に見せる。 ✅ 正しい。生後9~12ヶ月で物を大人に見せるジェスチャーが出現し、共同注意(大人と自分が同じ対象に注目する状態)が成立します。これは前言語期の象徴的行動です。 --- 【試験対策ポイント】 前言語期の発達段階(生後0~12ヶ月) | 月齢 | 主要な発達 | |---|---| | 0~3ヶ月 | 欲求語(泣き声の分化)、社会的微笑 | | 4~6ヶ月 | 音韻段階開始(喃語;バブリング)、相互注視 | | 6~9ヶ月 | ゲーム的相互作用(相互作用遊び)、支持された物指し | | 9~12ヶ月 | 共同注意、三項関係、指差し応答、物指し(独立) | 言語発達と音韻体系の関係 - **モーラ認識**は語用論的発達段階(1語話言語以降)に属する - 前言語期にできることは**社会的・認知的スキル**(社会的参照、共同注意、パターン認識) - 言語形式(音韻単位の分析)の習得は**12ヶ月以降** 紛らわしい選択肢の区別法 - 社会的参照(3番):大人の「情動」から情報を取得(社会的学習) - 共同注意(4番・5番):大人と対象物への「注意の同期」 - **いずれも「言語知識不要」の発達領域**が前言語期の特徴
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