STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第24回 言語聴覚士国家試験 第146問

言語発達学第24回
学童期の学習言語について誤っているのはどれか。
  1. 1.非言語的文脈への依存が大きい。 ✓
  2. 2.学習の手段として発達する。
  3. 3.学校教育に依存して発達する。
  4. 4.読み書きの獲得によって高次化される。
  5. 5.思考・推論の道具として発達する。

正答:1番

解説
■ 正答:1番 — 非言語的文脈への依存が大きい。 学童期の学習言語は、幼児期の日常会話言語から大きく発達します。日常会話言語は非言語的文脈(顔表情・身振り・状況)に依存しますが、学習言語は「文脈に依存しない抽象的で複雑な言語」へと発達することが特徴です。むしろ非言語的文脈への依存は減少します。 --- 【各選択肢の解説】 1. 非言語的文脈への依存が大きい。 ❌ 誤り。学童期の学習言語の最大の特徴は「文脈からの独立」です。幼児期の日常会話言語は身振りや表情などの非言語的手がかりに大きく頼りますが、学習言語は言葉だけで意味が通じるよう発達します。これはベルテルソン(Berthoud-Papandropoulou)やウゴーニャ(Vygotsky)が強調した発達段階です。 2. 学習の手段として発達する。 ✅ 正しい。学童期から言語は単なるコミュニケーション手段ではなく、新しい知識や概念を習得するための「学習の道具」として機能し始めます。教科書の理解や計算、科学的思考などすべてが言語を介して進みます。 3. 学校教育に依存して発達する。 ✅ 正しい。学習言語は家庭会話では習得できず、読み書き教育を中心とした学校教育による体系的指導によってのみ発達します。これは識字率と学習言語発達の相関からも実証されています。 4. 読み書きの獲得によって高次化される。 ✅ 正しい。読み書きの開始(通常学童期)により、言語は音声のみの一時的処理から「目に見える言語」へ変わります。この視覚化により、文法構造の明示化・修正可能性・複文や抽象概念の習得が可能になり、言語機能が高次化します。 5. 思考・推論の道具として発達する。 ✅ 正しい。学童期には言語が単なるコミュニケーション手段から「内言語」として内化し、思考・計画・問題解決の道具となります。ヴィゴツキーの「内言語論」が示すように、学習言語の発達は思考の発達と同義です。 --- 【試験対策ポイント】 [学童期の学習言語 vs 幼児期の日常会話言語] | 観点 | 日常会話言語 | 学習言語 | |---|---|---| | 文脈依存性 | 大(非言語的手がかり頼み) | 小(文脈非依存) | | 発達場所 | 家庭・保育園 | 学校(学校教育依存) | | 機能 | コミュニケーション | 学習・思考・推論の道具 | | 複雑性 | 具体的・単純 | 抽象的・複雑 | | 習得経路 | 自然習得 | 体系的教育(読み書き) | [出題ポイント] - 「文脈依存→文脈非依存への移行」は学童期言語発達の最重要キーワード - 1番が「非言語的文脈への依存が大きい」と述べている=幼児期の特徴を学童期に誤適用している - Cummins(カミンズ)の「二重言語能力モデル」でも区別される2つの言語機能
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