第24回 言語聴覚士国家試験 第16問
形成外科学第24回
口蓋裂の手術法はどれか。
a.三角弁法
b.プッシュバック(push back)法
c.ファーロー法(Furlow)法
d.マンチェスター(Manchester)法
e.マリケン(Mulliken)法
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — b.プッシュバック(push back)法、c.ファーロー法(Furlow法)
口蓋裂の手術法は複数あり、このうちプッシュバック法とファーロー法が代表的な口蓋裂手術法です。プッシュバック法は口蓋粘膜弁を後方に展開して裂隙を閉鎖する方法で、ファーロー法はZ形成術の原理を用いて瘢痕収縮を最小化する方法です。いずれも鼻側粘膜と口側粘膜の二層閉鎖を目指します。
---
【各選択肢の解説】
a. 三角弁法
❌ 誤り。三角弁法(triangular flap法)は眼瞼下垂(下垂症)の手術法です。口蓋裂手術ではなく、整形外科における眼科領域の術式であり、口蓋裂とは無関係です。
b. プッシュバック(push back)法
✅ 正しい。口蓋裂の代表的手術法の一つです。口蓋粘膜弁を後方(咽頭方向)に展開・回転させることで裂隙を閉鎖し、同時に口蓋筋群の緊張を緩和します。古典的で確実な方法として今も広く行われています。
c. ファーロー(Furlow)法
✅ 正しい。Z形成術(Z-plasty)の原理を応用した口蓋裂手術法です。瘢痕収縮による二次的な高狭窄を減少させるという利点があり、近年ではプッシュバック法に代わる標準術式として認識されつつあります。
d. マンチェスター(Manchester)法
❌ 誤り。マンチェスター法は下垂性子宮脱や膣脱に対する女性骨盤底形成術です。形成外科の領域ですが、口蓋裂手術ではなく婦人科的な術式です。
e. マリケン(Mulliken)法
❌ 誤り。Mullikenは血管奇形の分類(Mulliken分類:低流量奇形vs高流量奇形)で有名な形成外科医ですが、「マリケン法」という口蓋裂の術式は存在しません。人名が含まれているため紛らわしいですが、口蓋裂手術法ではありません。
---
【試験対策ポイント】
口蓋裂手術法の比較
| 術式 | 原理 | 特徴 | 時期 |
|---|---|---|---|
| プッシュバック法 | 粘膜弁を後方展開 | 古典的・確実性高い | 生後6〜12ヶ月 |
| ファーロー法 | Z形成原理 | 瘢痕収縮最小化 | 生後6〜12ヶ月 |
紛らわしい選択肢の区別
- 三角弁法:眼瞼形成(下垂症)
- マンチェスター法:子宮脱手術(婦人科)
- Mulliken分類:血管奇形の分類(手術法ではない)
キーワード
- 一次口蓋裂手術:生後6〜12ヶ月(Rule of 10s:10週齢・10ポンド・10ヘモグロビン)
- 目標:鼻側粘膜と口側粘膜の二層閉鎖
- 口蓋筋の緊張緩和が重要(発声・嚥下機能向上のため)