第24回 言語聴覚士国家試験 第160問
失語症第24回
失語症における拡大・代替コミュニケーション(AAC)について誤っているのはどれか。
- 1.複数の手段を導入する。
- 2.急性期から導入する。
- 3.軽度例では不要である。 ✓
- 4.習得のための訓練が必要である。
- 5.コミュニケーション相手への指導も行う。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 軽度例では不要である。
失語症におけるAAC(拡大・代替コミュニケーション)は、軽度例であっても導入される場合があります。失語症の重症度ではなく、クライアントのコミュニケーション欲求と困難の程度に応じて判断されるべきであり、「軽度だから不要」という判断は適切ではありません。特に高頻度の場面での困難や、日常生活のQOL向上を目指す観点から、軽度例でも部分的なAAC導入が有効です。
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【各選択肢の解説】
1. 複数の手段を導入する。
✅ 正しい。音声言語の復帰状況・相手・場面に応じて、複数のAAC手段(筆談・身振り・携帯端末・記号盤など)を組み合わせることが原則です。
2. 急性期から導入する。
✅ 正しい。失語症の回復可能性が高い急性期であっても、早期からAAC導入によりコミュニケーション機会を確保することで、心理的安定と社会的参加を促進できます。
3. 軽度例では不要である。
❌ 誤り。重症度に関わらず、クライアントの「コミュニケーション欲求」と「困難の実態」に基づいて判断すべきです。軽度であっても特定場面(電話対応など)での困難が大きければAAC導入は有効です。
4. 習得のための訓練が必要である。
✅ 正しい。AAC機器・手段の使用方法習得、他者への効果的な提示方法の学習など、段階的な訓練を要します。特に高度な機器では認知的負荷が大きいため訓練は不可欠です。
5. コミュニケーション相手への指導も行う。
✅ 正しい。AAC導入の成功には、家族・スタッフなど相手方の理解と使用方法の習得が必須です。聞き手の協力なくしてAACの効果は限定的になります。
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【試験対策ポイント】
AAC導入の判断軸
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 重症度 | 判断基準ではない(軽度でも導入対象) |
| 判断基準 | コミュニケーション欲求・困難の実態・QOL |
| 導入時期 | 急性期から(回復を妨げない) |
| 手段の特性 | 複数併用が原則(場面・相手に応じた選択) |
AAC導入成功の3要素
- クライアント:機器・手段の習得訓練
- 聞き手:AAC理解・運用方法の指導
- STによる支援:段階的な導入・調整・モニタリング
「軽度だから不要」という思考は失語症対応の誤謬。むしろ軽度例では、限定的な場面への標的的介入が有効な場合が多い。