第24回 言語聴覚士国家試験 第162問
高次脳機能障害第24回
病巣が一側性の場合、その反対側の視野だけに症状が生じ得るのはどれか。
- 1.視覚性失認
- 2.相貌失認
- 3.街並失認
- 4.大脳性色覚障害 ✓
- 5.視覚性失語
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 大脳性色覚障害
大脳性色覚障害は視覚皮質の損傷による色覚障害であり、一側性病巣により「対側視野」のみに限定された症状(対側性視野欠損に伴う色覚喪失)が生じます。視覚情報は交叉により対側視野が同側半球で処理されるため、損傷側の反対視野に障害が限定されます。他の選択肢は両眼の視覚情報を処理する高次機能障害であり、視野に限定されない両側的な認知障害として出現します。
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【各選択肢の解説】
1. 視覚性失認
❌ 誤り。視覚性失認は物体を視覚的に認識できない障害であり、一側性病巣でも両眼視野全体に影響する高次認知障害です。視野欠損に限定されず、両側的な認識障害として現れます。
2. 相貌失認
❌ 誤り。相貌失認は顔を認識できない障害で、通常は両側下側頭葉(特に紡錘状回)の損傷で生じます。一側性病巣では視野に限定されず、全視野における顔認識障害として出現します。
3. 街並失認
❌ 誤り。街並失認(環境失認)は空間や環境認識の障害で、両側後頭頭頂葉損傷や広範な右半球損傷で生じやすく、視野欠損に限定されない高次認知障害です。
4. 大脳性色覚障害
✅ 正しい。視覚皮質(V1)の一側性損傷により、対側視野の色彩識別能力のみが喪失します。視覚情報処理の初期段階の障害であるため、視野によって症状が限定されます。
5. 視覚性失語
❌ 誤り。視覚性失語は文字を読むことができない高次言語障害であり、言語野の高次機能障害です。視野欠損に限定されず、読字能力全般の障害として現れます。
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【試験対策ポイント】
視覚情報処理の階層構造:
| 処理レベル | 例 | 病巣 | 視野限定 |
|---|---|---|---|
| **初期段階**(初級視覚皮質) | 大脳性色覚障害、視野欠損 | V1・V2 | ◎ 限定あり |
| **中間段階**(背側・腹側経路) | 視覚性失認、相貌失認 | 頭頂葉・側頭葉 | ✗ 限定なし |
| **高次段階**(言語・認知統合) | 視覚性失語、街並失認 | 言語野・連合野 | ✗ 限定なし |
重要な否定知識:
- 視覚性失認・相貌失認・視覚性失語は「視野に限定されない」→全視野で認識障害が出現
- 大脳性色覚障害のみが「視野欠損に対応した色覚喪失」を示す理由→初期視覚皮質の一側性損傷だから
キーワード:
- 交叉:視覚情報は外側膝状体で交叉し、対側視野が同側視皮質に投影
- V1損傷→対側視野欠損(同時に色覚喪失も対側視野に限定)
- 高次視覚野損傷→視野限定されない認知機能障害