第24回 言語聴覚士国家試験 第180問
運動障害性構音障害第24回
上顎全摘術後患者の構音の特徴はどれか。
a.開鼻声がみられる。
b.摩擦音の明瞭度は保たれる。
c.歯茎音が両唇音に異聴される。
d.有声破裂音が鼻音に異聴される。
e.呼気鼻漏出による子音の歪みがみられる。
1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — a,d,e
上顎全摘術後は、口腔と鼻腔の分離が失われるため、弛緩性構音障害(球麻痺様)を呈します。破裂音・摩擦音で口腔内圧が維持できず、呼気が鼻腔へ漏出することが主な問題です。結果として開鼻声が顕著に現れ、有声破裂音が鼻音に異聴し、子音が歪みます。
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【各選択肢の解説】
a. 開鼻声がみられる。
✅ 正しい。上顎欠損により口鼻腔の連通路が拡大し、呼気が鼻腔へ恒常的に漏出するため、開鼻声(hypernasal voice)が著明に現れます。これは最も顕著な特徴です。
b. 摩擦音の明瞭度は保たれる。
❌ 誤り。摩擦音(/s/,/f/,/v/等)は口腔内圧によって成立する音です。上顎欠損で圧が維持できず、呼気が鼻へ漏出するため、摩擦音の明瞭度は著しく低下します。
c. 歯茎音が両唇音に異聴される。
❌ 誤り。上顎欠損では歯茎音の構音位置や調音方法は直接的に変化しません。むしろ開鼻声と呼気漏出が主因で、異聴される場合は「歯茎音が鼻音に異聴」する傾向が強いです。両唇音への異聴は起こりません。
d. 有声破裂音が鼻音に異聴される。
✅ 正しい。/b/,/d/,/g/などの有声破裂音は口腔内で圧を保つことで成立します。上顎欠損で圧が保てず、呼気が鼻へ漏出すると、/b/は/m/に、/d/や/g/は鼻音的に聴こえます。これは代表的な異聴現象です。
e. 呼気鼻漏出による子音の歪みがみられる。
✅ 正しい。上顎全摘術後の最大の特徴は呼気の鼻腔漏出です。破裂音・摩擦音・破擦音すべてで呼気が分散し、子音が著しく歪みます。
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【試験対策ポイント】
上顎全摘術後の構音障害の本質
| 構音要素 | 変化 | 理由 |
|---|---|---|
| 開鼻声 | 著明に現れる | 鼻腔への恒常的呼気漏出 |
| 破裂音/b/d/g | 鼻音に異聴 | 口腔内圧が維持できない |
| 摩擦音/s/f/ | 明瞭度低下 | 呼気が鼻へ分散 |
| 母音 | 比較的保持 | 狭窄がなく閉鎖の要求がない |
重要な否定知識:
- 「歯茎音が両唇音に異聴」は起きない
- 「摩擦音の明瞭度が保たれる」は誤り(むしろ著しく低下)
- 上顎欠損は「弛緩性」に分類される(痙性ではない)
頻出パターン:破裂音が鼻音に異聴する理由を説明できることが重要