STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第24回 言語聴覚士国家試験 第195問

聴力検査第24回
補充現象を評価するのはどれか。 a.ABR b.ASSR c.純音聴力検査 d.ABLB e.SISI 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — d.ABLB、e.SISI 補充現象(recruitment)は感音難聴における特異的な症状で、小さい音では聞こえづらいが大きい音では不快感を伴うほど急速に聞こえが大きくなる現象です。これを定量的に評価する検査はABLBとSISIに限定されます。 --- 【各選択肢の解説】 a.ABR(聴性脳幹反応) ❌ 誤り。ABRは聴覚神経から脳幹までの神経伝導速度を評価する検査で、補充現象の評価には使用されません。電気生理学的検査であり、心理音響的評価ではないため、補充現象という聴覚心理学的現象の検出には直結しません。 b.ASSR(聴性定常状態反応) ❌ 誤り。ASSRはABRと同様に電気生理学的検査法で、周波数特異性に優れた客観的聴覚検査です。補充現象は患者の主観的判断に基づく現象であるため、電気生理学的検査では評価できません。 c.純音聴力検査 ❌ 誤り。純音聴力検査は聴覚感度のみを測定し、補充現象の有無を直接評価する検査ではありません。ただし補充現象があると両耳間の最小可聴音量の差が大きいことから間接的な推測は可能ですが、補充現象を「評価する」という目的には合致しません。 d.ABLB(Alternate Binaural Loudness Balance) ✅ 正しい。両耳ラウドネスバランス検査で、正常耳と患耳で同じラウドネスを感じる音量を比較します。感音難聴で補充現象が存在する場合、患耳の音量が急速に大きくなるため、低音量では患耳が小さく聞こえるが、中程度以上では両耳が同程度か患耳が大きく聞こえるようになります。補充現象を定量評価する標準検査です。 e.SISI(Short Increment Sensitivity Index) ✅ 正しい。基準音に対して1dB以下の微小な増音を加えた時の検出率を測定します。補充現象がある感音難聴患者は微小音量変化に敏感であるため、SISI値が70%以上と高くなります。補充現象の有無を評価する古典的で有用な検査法です。 --- 【試験対策ポイント】 補充現象評価の検査分類: | 検査名 | 検査方法 | 補充現象評価 | 補注 | |---|---|---|---| | ABLB | 両耳ラウドネスバランス | ✅ 有(定量的) | 両耳聴が条件 | | SISI | 微小増音検出 | ✅ 有(70%以上で陽性) | 片耳で実施可 | | 純音検査 | 聴覚感度測定 | ❌ 無し | 補充現象の有無は判断不可 | | ABR | 電気生理学的 | ❌ 無し | 客観的検査 | | ASSR | 電気生理学的 | ❌ 無し | 周波数特異性あり | 関連キーワード: - 補充現象:感音難聴特有の現象 - ABLB陽性:患耳と健耳のラウドネスが接近 - SISI陽性:感音難聴を示唆(伝音難聴では低値) - 蝸牛性補充現象:内耳障害(蝸牛) - 後迷路性では補充現象なし(聴神経腫瘍など)
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