第24回 言語聴覚士国家試験 第196問
聴力検査第24回
検査法と対象とする病態との組み合わせで正しいのはどれか。
- 1.ステンゲル法 ― 機能性聴覚障害 ✓
- 2.DPOAE ― 中枢性難聴
- 3.アブミ骨筋反射 ― 慢性中耳炎による鼓膜穿孔
- 4.耳鳴検査 ― 一側聾
- 5.ティンパノメトリー ― 両側高度感音難聴
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — ステンゲル法 — 機能性聴覚障害
ステンゲル法は左右の水平半規管に異なる周波数の音刺激を与え、反射的眼振応答の有無で聴覚機能の真偽性を判定する検査です。機能性聴覚障害(心因性聴覚障害)の診断に用いられる確実で信頼性の高い客観的検査法です。
---
【各選択肢の解説】
1. ステンゲル法 — 機能性聴覚障害
✅ 正しい。前庭脊髄反射を利用した検査で、聴覚機能の真偽性判定に客観的に用います。被検者の意図的な聴覚低下や誤魔化しを暴露できる数少ない検査法です。
2. DPOAE — 中枢性難聴
❌ 誤り。DPOAE(歪成分耳音響放射)は外有毛細胞機能の評価であり、末梢聴覚系(内耳)の障害検出に使用されます。中枢性難聴(聴覚路の脳幹・大脳レベルの障害)の検査にはABRやMLR、自記オージオメトリーなどを用いることが適切です。
3. アブミ骨筋反射 — 慢性中耳炎による鼓膜穿孔
❌ 誤り。鼓膜穿孔があると音圧を中耳腔へ伝えることができず、アブミ骨筋反射は記録不可(無反応)になります。反射低下の鑑別診断対象は「耳小骨連鎖離断」「強硬化症」「小小骨筋麻痺」など、反射経路の機械的障害です。穿孔そのものは測定不可能状態を作るため、検査対象にはなりません。
4. 耳鳴検査 — 一側聾
❌ 誤り。耳鳴検査は、耳鳴の高さ・大きさを測定し特性を評価する検査です。一側聾(一側の完全聴覚喪失)自体の診断には用いられません。むしろ聴力検査結果から一側聾を判定します。また、一側聾に対する耳鳴検査は対象者が聴覚情報を得られない側の耳鳴であれば測定が困難になる実務的問題もあります。
5. ティンパノメトリー — 両側高度感音難聴
❌ 誤り。ティンパノメトリーは中耳機能(鼓膜弾性・耳小骨連鎖の可動性)を評価する検査です。感音難聴(内耳以降の障害)の有無や程度には直接関連しません。感音難聴の診断には周波数別の気導・骨導聴力測定が必須です。
---
【試験対策ポイント】
各検査法と対象病態の対応表:
| 検査法 | 対象病態 | 特徴 |
|---|---|---|
| ステンゲル法 | 機能性聴覚障害 | 客観的判定で真偽性を暴露 |
| DPOAE | 外有毛細胞機能評価 | OAE系検査、新生児スクリーニング |
| ABR | 中枢性難聴・聴神経腫瘍 | 脳幹伝導時間評価 |
| アブミ骨筋反射 | 耳小骨連鎖離断・強硬化症 | 穿孔では測定不可 |
| ティンパノメトリー | 中耳機能障害 | 感音難聴の鑑別に無効 |
| 耳鳴検査 | 耳鳴の特性評価 | 診断検査ではない |
頻出誤概念:
- DPOAE「末