第24回 言語聴覚士国家試験 第197問
補聴器・人工内耳第24回
補聴器適合について誤っている組み合わせはどれか。
- 1.基準利得 ― 90dBSPLで測定する。 ✓
- 2.2ccカプラ ― 外耳道容積とほぼ同じである。
- 3.密閉型疑似耳 ― 実耳で発生する音圧に近似する。
- 4.ダンパー ― 共鳴周波数の利得と最大出力を抑制する。
- 5.裸耳利得 ― 補聴器装用で外耳道を塞ぐと失われる。
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 基準利得は90dBSPLで測定する。
基準利得は55dBSPLで測定されるため、この組み合わせは誤りです。90dBSPLは最大出力音圧を測定する条件です。補聴器の利得測定において、測定条件を混同することは受験生の最頻出誤りの一つです。
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【各選択肢の解説】
1. 基準利得 — 90dBSPLで測定する。
❌ 誤り。基準利得(reference gain)は55dBSPL入力で測定されます。90dBSPLは最大出力音圧(OSPL90:Output Sound Pressure Level at 90dBSPL input)の測定条件です。測定条件の取り違いが正答理由です。
2. 2ccカプラ — 外耳道容積とほぼ同じである。
✅ 正しい。2ccカプラの容積は約2mL(2立方センチメートル)であり、成人の外耳道容積(約1.5~2.0mL)とほぼ同等です。補聴器適合検査の標準測定カプラとして国際規格で規定されています。
3. 密閉型疑似耳 — 実耳で発生する音圧に近似する。
✅ 正しい。密閉型疑似耳(closed-type coupler)は、実耳の外耳道特性(外耳道の音響共鳴)を模擬し、実耳で発生する音圧に近い値を得られるため、より臨床的に有用です。補聴器の2cc測定値を実耳装用値に補正する際に利用されます。
4. ダンパー — 共鳴周波数の利得と最大出力を抑制する。
✅ 正しい。ダンパー(音響フィルタ)は補聴器内の音響管に挿入され、共鳴周波数(通常2,000~3,000Hz)のピークを減衰させ、利得と最大出力の両者を低減させます。音響フィードバック防止や音質改善を目的に使用されます。
5. 裸耳利得 — 補聴器装用で外耳道を塞ぐと失われる。
✅ 正しい。裸耳利得(unaided ear canal gain)は外耳道の音響共鳴による周波数特性で、補聴器が外耳道を塞ぐと失われます。装用効果を正確に評価するため、補聴器の利得には裸耳利得分を加算する必要があります。
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【試験対策ポイント】
補聴器利得測定の条件(国際規格IEC 60711)
| 測定項目 | 測定条件 | 測定カプラ |
|---|---|---|
| 基準利得 | 入力55dBSPL | 2ccカプラ |
| 最大出力音圧(OSPL90) | 入力90dBSPL | 2ccカプラ |
| 周波数特性 | 入力65dBSPL | 2ccカプラ |
| 実耳測定(REM) | 実耳装用 | マイクロフォン(外耳道) |
外耳道音響特性と補聴器適合
- 裸耳利得:3,000Hz付近で最大約17dB
- 実耳音圧レベル(REPL)= 補聴器2cc測定値 + 裸耳利得
- 密閉型疑似耳で実耳値に近い測定が可能
- 外耳道塞止効果:補聴器装用時に失われる共鳴ゲイン
補聴器内の音響調整
- ダンパー:周波数特性のピークを抑制
- メッシュフィルタ:高周波減衰
- マッフラー:全周波数の利得低減
頻出誤り
「90dBSPL = 基準利得」と誤記憶している