STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第24回 言語聴覚士国家試験 第198問

補聴器・人工内耳第24回
一つの補聴器に複数のマイクが用いられることの目的として正しいのはどれか。
  1. 1.ハウリングを抑制する。
  2. 2.内部の結露を防止する。
  3. 3.周辺の騒音を低減する。 ✓
  4. 4.実耳装用利得を改善する。
  5. 5.補聴援助機器を活用する。

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — 周辺の騒音を低減する。 複数のマイクを用いる主目的は、指向性マイクロフォンシステムを実現し、前方からの有用な音信号を優先的に捉えながら、周囲の背景騒音を効果的に低減することです。マイク間の距離差を利用した時間差や位相差の処理により、特定方向の音を増幅し、他方向の音を減衰させることで、騒音環境下での聴取性能が大幅に向上します。 --- 【各選択肢の解説】 1. ハウリングを抑制する。 ❌ 誤り。ハウリング抑制の主手段はフィードバック処理(デジタル信号処理による位相反転フィードバック消去)です。複数マイク配置は周波数特性の制御に役立ちますが、ハウリング対策が複数マイクの主目的ではありません。 2. 内部の結露を防止する。 ❌ 誤り。補聴器内の結露防止は、通気孔の設計やドライケース保管などの外部環境対策に関わるもので、マイク数とは無関係です。 3. 周辺の騒音を低減する。 ✅ 正しい。複数マイクは指向性マイクロフォンシステムを構成し、前方の音声に対して感度を高め、側方・背方からの騒音を選択的に減衰させます。これにより、騒音環境下での語音聴取明瞭度が向上します。 4. 実耳装用利得を改善する。 ❌ 誤り。実耳装用利得(Real Ear Aided Gain)の改善は、補聴器の利得・圧縮特性の調整により達成されるもので、マイク数増加による効果ではありません。マイクの数は音の方向選択性に関連し、全体的な利得量増加には直結しません。 5. 補聴援助機器を活用する。 ❌ 誤り。補聴援助機器(ワイヤレスマイク送信機など)の活用は、別途の外部デバイス接続の機能であり、補聴器内のマイク数とは独立した機能です。 --- 【試験対策ポイント】 指向性マイクロフォンシステム(複数マイク)の役割: | 項目 | 内容 | |---|---| | マイク配置 | 複数本を数cm間隔で配置(距離差利用) | | 処理原理 | 入力音の時間差・位相差を利用 | | 効果 | 特定方向(通常は前方)の感度向上 | | 結果 | 騒音環境下での S/N比 向上 | | 実際の利点 | 会議・飲食店などでの聴取性能向上 | 補聴器のハウリング対策方法(マイクではない): ・フィードバック処理(デジタル信号処理) ・利得調整(高周波数帯での微調整) ・カナルのシーリング(音響的漏れ防止) ・オープンマウルド選択 キーワード:「指向性」「S/N比」「騒音低減」は複数マイク問題の頻出ワード
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