第24回 言語聴覚士国家試験 第199問
補聴器・人工内耳第24回
1歳半で両側人工内耳手術を受けた4歳の女児。PVT-RはSS9である。現在習得していると考えられるのはどれか。
a.語頭音の抽出ができる。
b.日本語100音節を正しく言える。
c.語音聴力検査を書字法で遂行できる。
d.物語の要点をまとめて伝えることができる。
e.年齢を訪ねられたら、4本指で示すことができる。
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — a,e
1歳半での人工内耳装用により、4歳時点でSS9(音韻弁別レベル)に到達した児は、生後約2.5年間の補聴覚による言語学習期間を経ています。SS9は音韻的に異なる音を弁別できるレベルですが、複雑な言語理解・使用や音韻体系の全習得には至っていません。年齢相応の発達段階と音響言語基盤の発達段階を照らし合わせて検討する必要があります。
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【各選択肢の解説】
a. 語頭音の抽出ができる。
✅ 正しい。SS9は音韻弁別段階であり、語頭子音など個々の音素レベルでの識別が可能な段階です。人工内耳装用後2.5年の学習期間があれば、音韻的特徴の抽出(特に顕著な語頭音など)は習得可能範囲です。
b. 日本語100音節を正しく言える。
❌ 誤り。日本語の全音節(あ・か・さ...など約100音節)を正確に習得するには、音韻体系全体の習得が必要であり、SS9の段階では達成困難です。個々の音素弁別が可能でも、全音韻体系の表出習得には、より長期の言語学習と音韻意識の発達が必要です。
c. 語音聴力検査を書字法で遂行できる。
❌ 誤り。語音聴力検査(単語や文章の聴取と復唱)を「書字法」で遂行するには、読み書き能力と聴覚的フィードバック機構の統合が必要です。SS9段階では音韻弁別が可能でも、複合的な聴取・処理・表記を同時に遂行する能力はまだ習得段階にありません。
d. 物語の要点をまとめて伝えることができる。
❌ 誤り。物語の要点把握は文法体系・語彙・物語構造の理解を要し、認知的な言語処理が関与します。SS9は音韻弁別レベルであり、複雑な言語内容の理解と再構成という高次な言語能力習得には至っていません。
e. 年齢を訪ねられたら、4本指で示すことができる。
✅ 正しい。4歳児は発達段階として数概念(特に4まで)や数指示が可能です。これは音響言語能力とは独立した認知発達であり、SS9の音韻弁別能力と相まって、非言語的コミュニケーション(指示による数表現)は十分可能です。
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【試験対策ポイント】
人工内耳の言語習得段階(SS分類)と発達段階の対応関係
| SS段階 | 習得内容 | 4歳児で可能か |
|---|---|---|
| SS1-2(音感知) | 音の有無弁別 | 当然可 |
| SS3-4(音響弁別) | 基本周波数や時間パターンの弁別 | 当然可 |
| SS5-6(パターン認識) | 日本語音韻の粗い特性認識 | 当然可 |
| SS7-8(音韻認識) | 音韻的特徴抽出(語頭音など) | **可能**✅ |
| SS9(音韻弁別) | 異なる音素の確実な識別 | 現在地 |
| SS10(言葉認識) | 語や文の統合的理解・複雑な音韻処理 | 困難❌ |
発達段階との照応
| 項目 | 4歳の定型発達 | 人工内耳SS9との整合性 |
|---|---|---|
| 語音認識 | 「た」「さ」などの子音弁別可 | **可(a)** |
| 読み書