第24回 言語聴覚士国家試験 第28問
心理測定法第24回
一般的に正しいのはどれか。
a.絶対閾の測定に検出課題を用いることができる。
b.弁別できない二つの刺激は主観的に等価である。
c.刺激量が増えると弁別閾の値は減少する。
d.刺激頂以上の刺激量の刺激は感知できない。
e.閾値の短期的な時間変化を恒常法で測定する。
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — a,b
正答のa、bは心理物理学における測定理論の基本概念です。絶対閾は検出課題によって測定でき、弁別できない刺激は主観的等価性の原理から等価と見なされます。
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【各選択肢の解説】
a. 絶対閾の測定に検出課題を用いることができる。
✅ 正しい。絶対閾(刺激を感知できる最小の刺激量)の測定では、「刺激を検出したか否か」という二者択一課題(検出課題)が標準的に用いられます。上下法(段階法)などで測定される際も、この検出課題が基本となります。
b. 弁別できない二つの刺激は主観的に等価である。
✅ 正しい。これは「主観的等価性の原理」で、弁別閾以下の刺激差しか無い刺激対は、被験者にとって心理的に区別不可能であり、主観的には同じ感覚として経験されます。JND(最小可知差異)の概念の根幹です。
c. 刺激量が増えると弁別閾の値は減少する。
❌ 誤り。ウェーバーの法則により、弁別閾は刺激量に比例して増加します。刺激量が大きいほど弁別閾の絶対値も大きくなり、むしろ弁別比(ΔI/I)は比較的一定です。「増える」が正しい表現です。
d. 刺激頂以上の刺激量の刺激は感知できない。
❌ 誤り。刺激には「上限」がありません。刺激量が増加すれば、感覚の強度は増し続け、多くの場合痛覚などが生じます。「刺激頂」という概念は心理測定法では標準的ではありません。
e. 閾値の短期的な時間変化を恒常法で測定する。
❌ 誤り。恒常法は安定した閾値測定に用いられる方法で、多数の試行が必要なため、むしろ時間を要します。短期的変化測定には上下法(迅速)が適しています。恒常法は「閾値が安定している状態」を前提とします。
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【試験対策ポイント】
| 概念 | 定義 | 測定課題 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 絶対閾 | 刺激を感知できる最小値 | 検出課題(有無判定) | 刺激なし→あり→ない判定 |
| 弁別閾(JND) | 二刺激を弁別可能な最小差 | 比較課題(大小判定) | 刺激A vs B どちらが大きい? |
| 主観的等価性 | 弁別できない刺激は心理的に同等 | — | 弁別閾以下の差は区別不可 |
| ウェーバーの法則 | ΔI/I = 定数 | — | 弁別閾は刺激量に比例 |
| 測定方法 | 用途 | 特性 |
|---|---|---|
| 上下法(段階法) | 閾値を素早く推定 | 試行数が少ない(迅速) |
| 恒常法 | 安定した閾値測定 | 多数の試行(時間要) |
| 調整法 | 被験者が自由に刺激調整 | 適応傾向が影響しやすい |
キーワード:検出課題(絶対閾測定)、比較課題(弁別閾測定)、JND、ウェーバーの法則(刺激量増加→弁別閾増加)、主観的等価性の原理、上下法は「迅速」、恒常法は「安定的」