第24回 言語聴覚士国家試験 第29問
心理測定法第24回
サンプリング(標本抽出)とサンプル(標本)に関する記述として誤っているのはどれか。
- 1.標本の大きさは標本の値によって算出される。 ✓
- 2.標本集団の統計量によって母集団を推定する。
- 3.標本調査は全数調査よりも費用の節約になる。
- 4.部分集団ごとにランダムサンプリングを行う方法を層別抽出法という。
- 5.推測統計はランダムサンプリングの原理に基づいている。
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 標本の大きさは標本の値によって算出される。
標本の大きさ(サンプルサイズ)は、事前に必要な統計的検出力・有意水準・効果量などの設定に基づいて計算され、実際に標本から得られた値(平均値や分散など)によって後から決定されるものではありません。サンプルサイズは調査設計段階で確定されるべき重要なパラメータです。
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【各選択肢の解説】
1. 標本の大きさは標本の値によって算出される。
❌ 誤り。標本サイズは調査前の設計段階で、検出力分析(必要な有意水準・効果量・検出力を指定)により算出されます。調査後に得られた標本値に基づいて決まるのではなく、逆に標本値から母集団を推定するためのツールです。
2. 標本集団の統計量によって母集団を推定する。
✅ 正しい。これが推測統計学の基本原理です。標本から計算した平均値や標準偏差などの統計量(point estimator)を用いて、母集団パラメータを点推定または区間推定します。
3. 標本調査は全数調査よりも費用の節約になる。
✅ 正しい。調査対象を母集団全体から抽出した一部に限定するため、人件費・時間・物資が削減でき、コスト効率が向上します。これがサンプリングの実務的メリットです。
4. 部分集団ごとにランダムサンプリングを行う方法を層別抽出法という。
✅ 正しい。母集団を性別・年齢・診断名などの層(strata)に分類し、各層内でランダムサンプリング(無作為抽出)を実施する方法です。層内の同質性が高いほど推定精度が向上します。
5. 推測統計はランダムサンプリングの原理に基づいている。
✅ 正しい。母集団の特性を標本から不偏推定するには、標本が母集団を代表する必要があり、ランダムサンプリング(無作為抽出)がその条件です。偏りのない標本初期分布を得るための基礎原理です。
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【試験対策ポイント】
【標本設計の流れ】
1. 研究目的と必要な統計的パワー設定(α=0.05, β=0.20など)
2. 期待効果量の決定
3. 「これらに基づいて」サンプルサイズを計算
4. その後、実際に調査を実施
【選択肢1が誤り理由】
「標本の値によって算出」→「調査後に値が出たから、その値に基づいて決める」という意味
実際:「調査前の設計段階で統計学的根拠により事前決定」
【サンプリング法の分類】
| 方法 | 特徴 | ST試験頻出度 |
|---|---|---|
| 無作為抽出(ランダム) | 全個体に等確率→不偏→推測統計の前提 | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
| 層別抽出 | 層ごとにランダム→層内同質性活用 | ⭐⭐⭐⭐ |
| 系統抽出 | 等間隔で抽出→準無作為 | ⭐⭐⭐ |
| 集落抽出 | 地域単位で抽出→手間削減 | ⭐⭐⭐ |
| 便宜的抽出 | 入手しやすい対象→「推測統計不可」 | ⭐⭐⭐⭐ |
【キーワード】
・サンプルサイズはa priori(事前)計算
・サンプル値はestimator(推定量)→母数推定の道具
・「大きさ