STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第24回 言語聴覚士国家試験 第33問

生涯発達心理学第24回
正しいのはどれか。 a.ある発達段階の発達課題を習得できなくても、後の段階の発達への影響は少ない。 b.発達は加齢に伴い能力が衰えることを含む。 c.遺伝と環境が発達に及ぼす影響の区分は困難である。 d.運動スキルは発達初期から訓練すればするほど効果的である。 e.系統発達は個体の中での連続的な変化である。 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — b,c 発達心理学における「発達」の本質と特性を問う問題です。重要なのは「発達とは何か」という定義的理解と、加齢に伴う変化のプロセスを正確に把握することです。正答はbとcです。 --- 【各選択肢の解説】 a. ある発達段階の発達課題を習得できなくても、後の段階の発達への影響は少ない。 ❌ 誤り。発達課題論(Havighurst)の基本原理に反します。各発達段階の課題習得は後続段階の基盤となり、前段階の課題が未習得であれば次段階以降に大きな影響を及ぼします。例えば、乳幼児期の愛着形成が不十分であれば、学童期以降の対人関係や学習にも支障が生じます。 b. 発達は加齢に伴い能力が衰えることを含む。 ✅ 正しい。発達は成長期だけでなく、生涯にわたって継続します。青年期以降、特に高齢期では体力低下・認知機能の変化など、加齢に伴う衰退も発達の一部として捉えられています(生涯発達観)。発達=単なる成長・上昇ではなく、変化全般を意味します。 c. 遺伝と環境が発達に及ぼす影響の区分は困難である。 ✅ 正しい。発達は遺伝と環境の相互作用によって生じており、両者を厳密に分離することはほぼ不可能です。同じ遺伝子を持つ一卵性双生児でも環境の違いで異なる発達を示しますし、遺伝的素質がなくても適切な環境で能力が開花することもあります。これは「遺伝と環境の相互作用」という発達心理学の核となる概念です。 d. 運動スキルは発達初期から訓練すればするほど効果的である。 ❌ 誤り。発達には「臨界期」「準備期」という概念があります。発達段階に応じた準備ができていない時期に無理に訓練しても効果的ではなく、かえって負担になる可能性があります。例えば、歩行は脳神経や筋肉が準備できた時期(生後9~15ヶ月程度)に効果的に習得されます。過度な早期訓練は効果的ではありません。 e. 系統発達は個体の中での連続的な変化である。 ❌ 誤り。「系統発達」は「個体発達」と対比される概念です。系統発達は「種族の進化的発展」を指し、個体が生涯を通じて示す変化は「個体発達」です。個体の中での連続的変化は個体発達の特徴であり、系統発達ではありません。概念の混同は頻出の誤答パターンです。 --- 【試験対策ポイント】 発達心理学の基本概念整理 | 概念 | 内容 | 重要なポイント | |---|---|---| | 発達とは | 加齢に伴う、生涯にわたる質的・量的変化 | 成長だけでなく衰退も含む | | 発達課題 | 各段階で習得すべき課題 | 段階的・積み重ね的で、後段階に影響 | | 臨界期/準備期 | 特定の学習に最適な時期 | 早期訓練が常に効果的とは限らない | | 個体発達 | 一個体の生涯を通じた変化 | 連続的+段階的特性 | | 系統発達 | 種族・文化の進化的変化 | 個体発達と異なる | | 遺伝と環境 | 相互作用によって発達決定 | 分離不可能 | 頻出誤解パターン
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