第24回 言語聴覚士国家試験 第35問
生涯発達心理学第24回
成人期に生じにくいのはどれか。
- 1.空の巣症候群
- 2.モラトリアム ✓
- 3.次世代育成
- 4.中期キャリア危機
- 5.アイデンティティ再体制化
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — モラトリアム
モラトリアムは青年期における心理社会的特徴であり、成人期には生じにくい現象です。青年期の「大人になることの先延ばし」という発達課題の延長線上の概念であり、成人期に入ると職業選択や人生方向の決定がより確定的になるため、モラトリアム的心理状態は低減します。
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【各選択肢の解説】
1. 空の巣症候群
✅ 成人期に生じます。子どもが家を離れて独立した後、特に中年期の親(特に母親)が喪失感や役割喪失による抑うつ状態を経験する現象です。成人期の親の適応課題として重要です。
2. モラトリアム
❌ 成人期に生じにくいです。Eriksonの発達段階やErnest Jonasの「モラトリアム人間」の概念から、モラトリアムは青年期の心理社会的危機であり、成人期には職業選択や人生目標の決定が進むため、このような「猶予状態」は減少します。
3. 次世代育成
✅ 成人期に生じます。Eriksonの「生成性対停滞性」の危機として、中年期(40~60歳代)の主要な発達課題です。次世代を育成・指導することで心理的充実感を得る時期であり、親としての役割や職場での指導者としての役割が顕著になります。
4. 中期キャリア危機
✅ 成人期に生じます。中年期(特に40~50歳)に職業人生の折り返し地点で「今の仕事でいいのか」「成功しているのか」という自問が生じる危機です。キャリア開発理論の重要な概念で、成人期の仕事適応における課題です。
5. アイデンティティ再体制化
✅ 成人期に生じます。特に中年期に人生経験の蓄積や社会的役割の変化(昇進・家族構成の変化など)に伴い、自己認識や人生意味の再構築が起こります。Eriksonの「同一性の再検証」として青年期だけでなく成人期でも起こります。
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【試験対策ポイント】
Eriksonの心理社会的発達段階(成人期関連)
| 段階 | 年齢 | 危機 | 発達課題 |
|---|---|---|---|
| 青年期 | 12~18歳 | 同一性対混乱 | アイデンティティ確立、モラトリアム |
| 成人初期 | 18~25歳 | 親密性対孤立 | 結婚・パートナーシップ |
| 成年期 | 25~65歳 | 生成性対停滞性 | 次世代育成、仕事での貢献 |
| 老年期 | 65歳~ | 統合性対絶望感 | 人生の意味づけ |
モラトリアムの特徴
- 青年期に主に見られる心理状態
- 「大人になることの延期」「決定の先延ばし」
- 様々な可能性を探索する時期
- 成人期に移行すると役割が確定し、このような猶予状態は減少
成人期の主要な危機・課題(中年期を中心に)
- 空の巣症候群:子どもの独立に伴う親の心理的適応課題
- 中期キャリア危機:職業人生の中盤における自己評価の危機
- 次世代育成:若い世代への関心と指導
- アイデンティティ再体制化:人生経験に基づく自己の再考