STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第24回 言語聴覚士国家試験 第56問

失語症第24回
正しい組み合わせはどれか。 a.接近行為 ― 音韻性錯語 b.迂言 ― 喚語困難 c.反復言語 ― 発語失行 d.語聾 ― 反響言語 e.補完現象 ― 発語衝迫 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:1番

解説
■ 正答:1番 — a,b 失語症や関連症状の用語定義を正確に理解することが重要です。aの「接近行為(音韻的な試行錯誤を通じた自己修正)と音韻性錯語(音韻システムの障害による誤り)」、bの「迂言(語が思い出せずに別の言葉で言い換える)と喚語困難(呼び出しの困難)」という組み合わせが適切です。 --- 【各選択肢の解説】 a. 接近行為 ― 音韻性錯語 ✅ 正しい。接近行為は音韻性錯語に対する代償戦略であり、音が思い出せないとき「パ、パ、パ…」と音韻的に接近した音を試みながら正答に到達しようとする行為です。音韻性錯語(例:「りんご」→「りんんご」)は音韻システムの障害を反映しています。 b. 迂言 ― 喚語困難 ✅ 正しい。迂言(ゆげん)は喚語困難により目標語が思い出せないとき「これは赤くて甘い果物です」のように言い換える方略です。Broca失語やWernicke失語の命名困難に伴って出現します。 c. 反復言語 ― 発語失行 ❌ 誤り。反復言語(反響言語)は他者の言葉をそのまま繰り返す現象で、超皮質性失語などで見られます。発語失行は運動プログラミングの障害であり、音韻段階より前の運動計画レベルの問題です。この2つは異なる神経基盤を持ちます。 d. 語聾 ― 反響言語 ❌ 誤り。語聾(ごろう)は聴覚的言語理解の障害を指し、Wernicke失語や聴覚型超皮質性失語で見られます。反響言語は他者の言葉を機械的に繰り返す現象です。この組み合わせに因果関係や関連性がありません。 e. 補完現象 ― 発語衝迫 ❌ 誤り。補完現象は無意識的な自動言語(数字列や慣用句)が出現する現象で、Broca失語で見られることがあります。発語衝迫(自動的に言葉が出てくる衝動)は異なるメカニズムです。これらは概念上の混同です。 --- 【試験対策ポイント】 失語症の随伴現象・代償行為の整理: | 現象 | 定義 | 出現する失語症 | 性質 | |---|---|---|---| | 接近行為 | 音韻的試行錯誤で正答へ接近 | Broca失語 | 代償戦略(有効) | | 音韻性錯語 | 音韻システム障害による音の置換 | 音韻性錯語型命名困難 | 病的症状 | | 迂言 | 言い換えによる表現 | Broca・全失語 | 代償戦略(有効) | | 喚語困難 | 目標語の呼び出し困難 | 命名失語・Broca失語 | 病的症状 | | 反響言語 | 他者の言葉を繰り返す | 超皮質性失語・認知症 | 病的症状 | | 発語失行 | 音韻配列の運動計画障害 | 失語症に伴う発語失行 | 病的症状 | | 語聾 | 聴覚的言語理解障害 | Wernicke失語 | 病的症状 | | 補完現象 | 自動言語(数字・歌)が出現 | Broca失語 | 無意識的 | | 発語衝迫 | 言葉が自動的に出てくる衝動 | 前頭
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