第24回 言語聴覚士国家試験 第57問
失語症第24回
誤っているのはどれか。
- 1.伝導失語では音韻の探索がみられる。
- 2.伝導失語は口舌顔面失行を伴うことがある。
- 3.伝導失語の呼称成績には語長効果がみられる。
- 4.典型的なブローカ失語はブローカ野に限局した病変で生じる。 ✓
- 5.ブローカ失語では呼称が語頭音キューで促進されることが多い。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 典型的なブローカ野に限局した病変で生じる。
伝導失語は弓状束(上縦束)の損傷により生じます。ブローカ野に限局した病変では、むしろブローカ失語が生じます。伝導失語では復唱が著しく障害される点が最大の特徴であり、これは言語理解と音韻計画系統が相対的に保たれているにもかかわらず、聴覚入力と運動出力を結ぶ伝導路の障害で説明されます。
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【各選択肢の解説】
1. 伝導失語では音韻の探索がみられる。
✅ 正しい。伝導失語では復唱時に音韻探索行動(paraphasic groping)が見られます。言語理解は保たれているため、自分の発話エラーに気づき、正しい音韻を探そうとする行動が顕著に現れます。
2. 伝導失語は口舌顔面失行を伴うことがある。
✅ 正しい。伝導失語の病変部位(弓状束・上頭頂葉)は、口舌顔面の運動企図領域に隣接しており、失行を併発することがあります。これは構音失行とは異なり、計画段階での障害です。
3. 伝導失語の呼称成績には語長効果がみられる。
✅ 正しい。伝導失語では短い語ほど呼称しやすく、長い語ほど困難になる語長効果が顕著に見られます。これは短期記憶容量の制限を反映しており、伝導失語の特徴的所見です。
4. 典型的なブローカ失語はブローカ野に限局した病変で生じる。
❌ 誤り。ブローカ野のみに限局した病変では、一過性の発話障害や軽度の発語失行が生じるにとどまり、比較的早期に回復することが多い。典型的なブローカ失語が生じるためには、ブローカ野周辺の皮質だけでなく、中心前回下部、前頭頭頂弁蓋部、島回、および深部白質や大脳基底核などを含む、より広範な病変が必要。
5. ブローカ失語では呼称が語頭音キューで促進されることが多い。
✅ 正しい。ブローカ失語は非流暢性で産出困難が主体であり、語頭音や頭字語などの音韻的キューが提供されると、貯蔵されている単語の産出が促進されることが多くあります。
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【試験対策ポイント】
失語症3軸整理(伝導失語とブローカ失語の鑑別)
| 項目 | 伝導失語 | ブローカ失語 |
|---|---|---|
| **流暢性** | 流暢 | 非流暢 |
| **理解** | 良好 | 良好 |
| **復唱** | 著しく不良★ | 軽度~中等度障害 |
| **主な病変部位** | 弓状束・上頭頂葉 | ブローカ野・下前頭葉 |
| **音韻探索行動** | あり(★特徴) | なし |
| **語長効果** | あり | ない |
| **キューによる促進** | 弱い | 強い |
伝導失語の鑑別ポイント
- 「流暢だが復唱が悪い」が最大の特徴
- 理解良好=自分の誤りに気づく=音韻探索行動
- 病変:ブローカ野ではなく「弓状束」「上頭頂葉」
ブローカ野限局病変との区別
- ブローカ野のみ損傷→ブローカ失語にはならない