第24回 言語聴覚士国家試験 第60問
失語症第24回
行動理論に基づく失語症の訓練について正しいのはどれか。
- 1.目標行動が日常場面で生起するかは問題にしない。
- 2.レスポンデント条件付けを行う。
- 3.うなずきや笑みは強化子とならない。
- 4.単純な課題では手がかりを使用しない。
- 5.訓練をスモールステップに分ける。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 訓練をスモールステップに分ける。
行動理論に基づく失語症訓練は、オペラント条件付けの原理(刺激→反応→強化)を用いて、小分けにした具体的な目標行動を系統的に獲得させるアプローチです。スモールステップ化は、患者が達成可能な段階を設定することで動機づけを高め、学習曲線を最適化する核となる手法です。
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【各選択肢の解説】
1. 目標行動が日常場面で生起するかは問題にしない。
❌ 誤り。行動理論では「般化(generalization)」が重要視されます。訓練室での改善だけでは無意味であり、家庭や実社会での機能的な言語使用につながることが目標です。目標行動の日常場面での生起は最終的な評価指標です。
2. レスポンデント条件付けを行う。
❌ 誤り。行動理論に基づく失語症訓練は「オペラント条件付け」を使用します。レスポンデント条件付けは無条件刺激に対する自動的反応(例:パブロフの犬)を扱うもので、言語習得には適していません。失語症訓練では反応に対する結果(強化子)が重要です。
3. うなずきや笑みは強化子とならない。
❌ 誤り。社会的強化子(うなずき・笑み・褒め言葉)は非常に効果的な強化子です。むしろ行動理論では、具体的報酬より社会的強化子の方が長期的効果が期待できるとされています。患者の反応を認める態度が訓練効果を左右します。
4. 単純な課題では手がかりを使用しない。
❌ 誤り。むしろ逆です。スモールステップの初期段階では「段階的手がかり減量法(fading)」により、視覚的・音声的手がかりを多く提供してから徐々に減らします。これにより患者の成功体験を確保し、自発性へ導くのが原則です。
5. 訓練をスモールステップに分ける。
✅ 正しい。行動理論における最基本原則です。大きな目標を細分化することで、各段階で成功体験を得られ、正の強化が繰り返され、学習効率が飛躍的に向上します。これは「逐次近似法(successive approximation)」と呼ばれます。
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【試験対策ポイント】
行動理論に基づく失語症訓練の5つの重要要素:
| 要素 | 説明 | ST試験頻出ポイント |
|---|---|---|
| スモールステップ化 | 大目標→小目標への分割 | 逐次近似法(shaping) |
| オペラント条件付け | 刺激→反応→強化の回路 | レスポンデント条件付けと混同しない |
| 強化スケジュール | 正の強化を計画的に提供 | 社会的強化子も有効 |
| 手がかり減量法(fading) | 初期段階で手がかり→徐々に減量 | 単純課題でも使用する |
| 般化 | 訓練成果が日常場面で生起 | 最終目標は機能的改善 |
キーワード:オペラント条件付け、強化、逐次近似法、般化、段階的手がかり減量法